サンウルブズ国内待機組の稲垣啓太、序盤戦のタックルスキルを解析する。 (2/2ページ)

ラグビーリパブリック

(タックルを)どういった形でやるかということを、染み込ませる」

 自身が出場したサンウルブズの2試合について感想を求められても、タックルについての言及が多かった。ブランビーズに25-32、レベルズには17-37で敗れたことを踏まえ、「タックルの位置が高かったのかな」。ランナーを最初に止める選手の肩の位置が、理想とされる位置よりもやや高かったというのだ。

 体格差のある相手を止めるには、低い姿勢で相手の腰から下のバランスを崩すのが一般的とされる。今季のサンウルブズには力の強い外国人選手も多いため、稲垣も「皆のフィジカルが強いので(高いタックルでも相手を)止められる」と認めている。しかし1人目のタックラーが相手の上半身を覆うことで、あるデメリットが生じると話した。

「上(胸元)で止めるのがなんで悪いかというと、2人目が絡めなくなるんです」

 世界的には小柄な選手も多いサンウルブズは、1人のランナーを2人でタックルし、すぐに起き上がって次の防御網を敷くのを理想としている。1人目の選手が相手の動きを止め、2人目の選手がボールへ絡みつけば、相手の攻撃のテンポを遮断できる。

 しかし、この流れのなかで1人目の選手が「上」へ入ると、そのままボールへ覆いかぶさるような形となりがちだ。そうなると、2人目の選手がどこに身体を当てるべきかがわからなくなる。本来の目指す防御を遂行するためにも、1人目のタックルの「高さ」にはこだわらねばならないと稲垣は言う。

「もし上に行くのならボールをチョーク(つかみ上げる)しないといけないのですが、上に行って食い込まれている場面もあった。これでは2人目は絡めない」

 もちろん「下」へ行く際も、点検すべき項目はある。腰を落として相手に近づく際は左右へのフットワークを利かせづらくなり、十分な間合いをとった相手ランナーにうまくかわされるリスクが生じる。そのため低いタックルが得意な稲垣は、ある自己改革に取り組むという。

 最近は足をつかまずとも外国人選手を倒し切るだけのパワーとスピードがついてきたと実感。この自己分析をもとに、新たなタックルの形を模索中だ。

 サンウルブズの国内の試合での低いタックルについて「飛び込んで(相手に)外されたりするシーンもある」と課題を挙げつつ、こう続けた。

「僕も低すぎる意識があるので、(上と下の)中間を狙いたいです。それをするだけのフィジカルもついてきたので」

 相手の足と胸元の間へ自分の肩をぶつけるのが、新しく掲げた理想なのだろう。稲垣はサンウルブズへは3月下旬に合流予定。雌伏期間の自己改革で、現在3連敗中のチームに白星をもたらせるか。

(文:向 風見也)
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