玉木正之のスポーツ内憂内患「JOCの報道規制は平昌五輪で最悪の出来事だ」 (1/2ページ)

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玉木正之のスポーツ内憂内患「JOCの報道規制は平昌五輪で最悪の出来事だ」

 女子スピードスケート選手の大活躍、大人気の「そだねージャパン」カーリング女子は銅メダル、羽生結弦は見事な五輪2連覇、ノルディック・スキー複合にスノーボード・ハーフパイプは銀メダルで、モーグルは銅メダル‥‥と、メダルの個数(金4銀5銅4=11位)以上の喜びに沸いた平昌冬季五輪だった。が、そんななかで、最悪の出来事と言えたのが、JOC(日本オリンピック委員会)の「報道規制」である。

 JOCは、平昌に出場する選手の所属大学や企業に対して、開幕前の壮行会を非公開にするよう求めてきたのだ。それは、JOCやIOC(国際オリンピック委員会)のスポンサーである協賛企業の「利益」を守るのが目的らしい。

 つまりJOCやIOCに協賛金を出していない団体が選手の壮行会などを開き、それが報道されれば、企業や大学の団体名がオリンピックとともに報道(宣伝)されることになり、その結果、多額の協賛金を拠出した協賛企業の「不利益」になる、というのが「報道規制」の理由だった。

 壮行会だけではない。パブリック・ビューイング(PV)の場を設けて選手を応援することも、協賛企業以外の団体が行うと協賛企業の「不利益」になるとの判断で「報道」が禁じられた。

 報道されなければ、大勢で応援している声が広がらない。たとえば金メダルを獲得した小平選手を応援していた長野県松本市の相沢病院は、予定していたPVを中止。商業目的に当たらないとして許可された地方自治体(松本市)が、急遽相沢病院に代わってPVを行ったという。その結果、相沢病院では職員だけの観戦となったが、SNSへの掲載が商業(宣伝)目的ととられないよう注意して、職員には「撮影禁止」を徹底したという(毎日新聞2月27日付朝刊より)。

 このJOCの方針で、首を傾げたくなることがある。一つは、五輪協賛企業の出すカネは純然たるビジネスであり、決して選手やスポーツを応援する寄付ではない、ということだ。

 何とも世知辛い世の中になったものだが、協賛企業の出すカネが、すべてのスポーツやスポーツ選手の支援に回るわけでなく、こんな規制を続けていればマイナースポーツへの支援はなくなってしまうだろう。

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