天才テリー伊藤対談「柄本佑」(3)末井さんは何度も現場に来てくれて (1/2ページ)
テリー 最新主演作「素敵なダイナマイトスキャンダル」って、末井昭さんの自伝の映画化ですよね。すごいなァ。
柄本 テリーさん、末井さんをご存じなんですか?
テリー もちろん。荒木経惟さんが活躍していた雑誌「写真時代」なんかを作った有名な編集者ですよね。
柄本 僕はこの映画に出演することで、初めて末井さんのことを知ったんです。7歳の時にお母さんをダイナマイト自殺で亡くして、上京後にデザイン会社に就職したあと、出版社に入って雑誌の編集長になって、みたいな波乱の人生にビックリしちゃって。アラーキーさんほか、末井さんを取り巻く個性的な人たちはもちろんのこと、「おもしろいものなら何でも作りたい」という70~80年代の熱量が詰まっていて、とにかく演じていて楽しかったです。
テリー その頃、青春時代を過ごしたアサ芸世代にしっかり刺さる映画だと思いますよ。実在の人物を演じるというのは、どういう気分だったんですか?
柄本 それは僕も初めての経験だったので、「どう演じればいいのか」という迷いはありましたね。ただ、原作本の表紙を見たら女装した末井さんの写真が載っていて、なんとなく僕と顔が似ているんですよ。だから、「あ、いけるんじゃないか」と思えまして(笑)。
テリー (本の表紙を見ながら)あっ、本当だ、そっくりじゃないですか!
柄本 ハハハハ、監督からも「似せる必要はないから、佑君のまんまでやってください」と言われました。
テリー じゃあ、撮影は順調だった?
柄本 そうですね。末井さんも5日間ぐらい現場に来てくれました。
テリー それ、多くないですか(笑)。だって普通、原作者なんて最初に挨拶するぐらいじゃないですか。