映画「ばあちゃんロード」熟れたエロスにも注目の人間劇

まいじつ

映画「ばあちゃんロード」熟れたエロスにも注目の人間劇

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『ばあちゃんロード』

配給/アークエンタテインメント 有楽町スバル座ほかにて4月14日より全国公開中
監督/篠原哲雄
出演/文音、草笛光子、三浦貴大、桜田通、鶴見辰吾ほか

風光明媚な富山県氷見市を舞台に、おばあちゃん子のヒロインが「結婚式でばあちゃんと一緒にバージンロードを歩きたい」と、ケガをして施設でふさぎ込んでいた祖母を励まし、その目標に向けて奮闘する“三世代”を横断するヒューマン・ドラマ。ヒロインを先日の当欄でも紹介した『おみおくり』の文音(ちなみに長渕剛の娘である)が演じている。おばあちゃん役は大ベテラン女優の草笛光子。今年85歳なのだが、いたって元気で、艶もある。「今回はクセのある役ではなかったので、次はもっと“強烈な”役をお願いしたい」というコメントに衰えぬ女優魂を感じるなあ。

そんな新旧女優のやり取りが微笑ましい、実にウエルメイドな佳作なのだが、ボクもやっぱり“強烈な”映画が好きなクチなので、刺激を求めたい。ヒロインの頑固親父を演じる鶴見辰吾から想起してみた。

結婚の報告に来た漁師の彼氏(三浦貴大)に「お父さん」と呼ばれると、「現時点で君にお父さんと呼ばれる筋合いはない!」と席を外してしまう、いかにもの父親キャラを好演していた鶴見。鶴見といえば、若いころの初主演作『翔んだカップル』(1980年)などが有名だが、個人的には中年になってからの方がイイ味出していると思う。ちょうど10年前に公開された『ノン子36歳(家事手伝い)』(08年)で、当時38歳の坂井真紀との激しいカラミを思い出す。

激しさといやらしさのあった若き日の鶴見辰吾

元B級アイドルで今は埼玉の実家に戻っているという設定の坂井を、その町まで追い掛けて来て復縁を迫る元夫でマネジャー役が最高だった。冷め切っている彼女と何とか絡め手でヨリを戻そうと画策する中年男の狡猾さがよく出ていた。

エロス場面にも怖めず臆せず大奮闘。安旅館で今後の相談をしているうち、鶴見がなし崩し的に、あるいは腐れ縁的に迫るあたりが最高にエロいのだ。坂井を後ろから抱きかかえ、首筋に舌を這わせ、手はいつの間にか股間へと滑らせる。ここで坂井は推定Cカップの美乳を惜し気もなく完脱ぎし、エレクトした乳首は必見だ。安旅館の暗がりでの男女の営みに、すえた匂いが漂ってくるほど。さすがに具体的に見えるわけではないが、いやらしさが画面から伝わってきた。

濡れ場だけでなく、作品全体も含め、この年のキネ旬で個人的には第1位で選んだほどだが、ベストワンはボクだけだったのはいかにも残念。でも、ボクは“鶴見辰吾ベスト・ムービー”はコレだと確信している。

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