国内居住者が海外取引所の仮想通貨で含み益が出た場合の国外財産調書

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国内居住者が海外取引所の仮想通貨で含み益が出た場合の国外財産調書

日本の居住者のうち、5000万円をこえる国外財産を保有している方は、その国外財産の数量や価額などを記載する国外財産調書を確定申告期限までに提出しなければなりません。この国外財産調書ですが、仮に国外財産の記載がもれているような場合には、税務調査の追徴税額に対して課される加算税を上乗せでかかるといったデメリットがありますので、忘れずに提出する必要があります。
なお、この国外財産調書の提出もれや虚偽記載は、罰則の対象にもなります。

■仮想通貨はどうなる?

ここで問題になるのは、仮装通貨の取扱いです。近年、仮装通貨の相場は大きく変動しており、相当儲かっている方も多いと聞いています。日本の市場で投資している場合は別にして、海外の市場で投資している場合には、その仮装通貨は国外財産として国外財産調書に記載する必要があるのではないか、このような疑問も多く耳にします。

この点、税理士向けの専門雑誌によると、仮装通貨が国外財産になるかどうかは、その仮想通貨を保有する方の住所で判断するとされている模様です。住所で判断するのであれば、日本の居住者にとっては国内財産となる訳です。国外財産調書は居住者が提出するものですから、この理屈で行けば国外財産調書に仮装通貨を記載する必要はないと考えられます。

■財産債務調書の取扱い

ところで、国外財産調書に似た調書制度として、財産債務調書と言われる調書があります。この調書は、所得税などの確定申告書を提出する必要がある方のうち、所得金額が2千万円超でかつ3億円以上の財産又は1億円以上の出国税の対象になる資産などを持っている方について提出する義務があるものです。この財産債務調書には、その方がお持ちの財産の種類や数量、そして価額を記載する必要があります。

この財産債務調書においては、国外財産といった制限がありませんので、仮に提出する必要がある場合には、仮装通貨についても記載する必要があります。なお、この財産債務調書についても、国外財産調書と同様に、記載漏れがあるような場合には税務調査の追徴税額に対して課される加算税を上乗せでかかるといったデメリットがあります。このため、記載漏れがないよう確実に申告する必要があります。

特に、仮装通貨で儲かった者は非常に多いため、予め国税はその情報をつかんでいる可能性が大きいです。となれば、申告がもれている者に対してはすぐに税務調査が実施されると見込まれますので、慎重に対応してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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