大一番で出場機会。ダミアン・マッケンジーが笑うのは「リラックス」の証。

ラグビーリパブリック

試合2日前の会見で笑顔を見せるダミアン・マッケンジー(左)とソニービル・ウィリアムズ(撮影:松本かおり)

 貴公子の顔つきでにこり、と笑う。ダミアン・マッケンジーがゴールキックを蹴る際の表情は、世界中のラグビーファンの間で知られている。

 10月25日、都内のホテルで本人がその心を明かす。

「自然と笑ってしまいます。リラックスしようという意思を持ち、本当にリラックスできているから笑っているのだと思います。試合をエンジョイできている証拠です」

 話をしたのは、2日後のブレディスローカップに向けた記者会見でのことだ。マッケンジーは当日、ニュージーランド代表のFBとしてオーストラリア代表との伝統的一戦に臨む。柔和な顔つきで、すべきことを語る。

「与えられたチャンスを重要なものと捉え、無駄にしないこと。自分の周りにいる選手とやるのがラグビーですから、そこへフィットすること」

 防御のひずみを切り裂くフットワーク、数的優位を得た折に放つロングパスと、技術と判断力に裏打ちされた働きも魅力とする。同じくニュージーランド代表のインサイドCTBに入るソニービル・ウィリアムズからも、「彼のプレーはとてもクレバー。そういう選手が1人いると、動きやすい。スペースも作り出してくれるし、やっていて気持ちがいいです」と太鼓判を押す。最後はこうだ。

「また、この笑顔。後ろにいると、癒されます」

 今年、国際リーグのスーパーラグビーではチーフスの主力として177得点をマーク。身長177センチ、体重78キロと小柄な23歳が、世界ランク1位の強豪国でも、足場を固めようとしている。

 司令塔のSOでもプレー可能なため、現代表の正SOのボーデン・バレットとの競争も注目される。もっとも当の本人は、今度の一戦でもSOを担うバレットとの関係を「ニュージーランドには選手層が必要。同じポジションにいい選手がいるのは当たり前」。置かれた立場に伴った発言を意識するのは、オールブラックスことニュージーランド代表になったアスリートの大きな特徴とも言えそうだ。

「(SOバレットとの)切磋琢磨は自分にとってのチャレンジで、その一環で、今回は一緒にプレーができる。彼と同じグラウンドでプレーをすることは、同じ目線で試合を見られるということでもあります。周りからどれだけ学べるかも、自分に課している」

 一緒に会見した33歳のSBWことウィリアムズは、次戦出場で代表50キャップに到達する。20キャップ目を見据えるマッケンジーは、仲間のキャリア組からも財産を得たいと話す。

「まだまだ成長しなくてはいけませんし、これからはリーダーシップも求められると思います。ただ、いまこのタイミングでこのようなファーストクラスの選手と一緒にやれるのはすごくいいことだと思っています。このような選手とは、一緒にいるだけで学ぶことがある。もっとどん欲に学んでいきたい」

 神奈川・日産スタジアムでおこなわれる今回のゲームは、通称「微笑みの貴公子」にとっては貴重な出場機会。「リラックス」してタスクに取り掛かりたい。

(文:向 風見也)
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