秋津壽男“どっち?”の健康学「現代の大人の病気である歯周病の恐怖。口腔ケアだけでなく生活習慣にも要注意」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「現代の大人の病気である歯周病の恐怖。口腔ケアだけでなく生活習慣にも要注意」

 昔に比べて子供の虫歯が減っているのはご存じでしょうか。お菓子を食べさせない親が増え、フッ素入り歯磨きも登場したことで患者は激減したのですが、むしろ中年以降に歯周病に気をつけねばならない世代と言えます。

 虫歯は歯をむしばんでいきますが、歯周病は歯ぐきなどの組織が壊され、最後には歯が抜け落ちる病気です。昔は歯周病は歯の病気であり、内科や外科は一切無関係と思われていました。ところが、人工血管手術で取り出した古い血管を研究したところ、全身の血管に歯周病菌が潜んでいることがわかりました。

 口の中の細菌は、歯を磨く人でも1000億個、あまり磨かない人ではその5倍、ほとんど磨かないと10倍にも上ると言われています。中でも口内の細菌のうち、注目されているのが「レッドコンプレックス」と呼ばれている3種類の歯周病菌です。これは、口腔ケアを怠ると活発になり、歯ぐきから体内に侵入して全身に回り、体内の血管の壁に住み着くと、その部分の動脈硬化を進めるのです。

 動脈はもともと軟らかいものですが、血管に内側から高い圧力がかかり続けることで、血管の壁が伸びて動脈瘤を形成します。この時、血管は壁を硬くすることで抵抗するのですが、硬くなった血管がプラークという塊となります。この塊が血液を流れにくくさせ、耐えきれずに破裂すると突然死につながる場合もあります。

 つまり、歯槽膿漏を作るだけだと思われていた歯周病菌が、血管や脳、心臓、肝臓などの臓器に悪影響を及ぼし、さまざまな病気を引き起こしているわけです。では、ここで問題です。歯周病の患者が罹患すると怖いのは、糖尿病と認知症のどちらでしょうか。

 歯周病が重症化すると血糖コントロールが利かなくなり、糖尿病にかかりやすくなります。歯周病自体をより重症化させるのも糖尿病であるなど、両者は悪循環をもたらす負の連鎖関係にもあります。つまり糖尿病は「大病のスタート」であり、その先にいくつもの合併症が待ち受けています。

 歯周病菌による合併症はさまざまです。心臓の血管に入れば心筋梗塞、脳の血管に入ると脳梗塞を招きます。

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