「お悔やみ申し上げます」や「ご愁傷様」と「ご冥福をお祈りします」の違い (1/2ページ)

心に残る家族葬

「お悔やみ申し上げます」や「ご愁傷様」と「ご冥福をお祈りします」の違い

メディアの報道やSNSなどでは訃報に際し「ご冥福をお祈り致します」「ご冥福を」という言葉を添える事が多いが、この表現は本来使うべきではないとする見方がある。実際の葬儀でも遺族に「ご冥福を~」と言うことはあまりなく、やはり「御愁傷様」「お悔やみ~」が一般的であるように思える。詳しい意味は知らなくてもある種の違和感があるのかもしれない。「冥福」とは「冥」とはどのような意味なのか。

■冥福とは?冥の意味は?

「冥福」(めいふく・みょうふく)を広辞苑でひくと、(1)死後の幸福。(2)人の死後の幸福を祈るために仏事を修すること。追善。とある。字面からもあの世での幸福をお祈りするというほどの意味で申し述べることが多いだろうし、意味から外れてはいない。では「冥」とは何か。(1)光がなくてくらい。やみ。よみじ。(2)道理にくらい。無知。「頑冥」 (3)目に見えない(神仏)。知らず知らずに及ぶ神仏のはたらき。とのこと。深淵な闇の世界といったところだろうか。

■神話の中の「冥界」

ギリシャ神話において「冥界」は冥王ハーデスの支配する地の底の世界である。竪琴の名人オルフェウスが冥界に死んだ恋人を迎えに行く話は有名だ。オルフェウスの竪琴の音色に魅力されたハーデスは恋人を連れて帰ることを許す。しかし地上に出るまでは決して振り向いてはいけないと約束を守ることはできず、恋人は再び地の底に堕ちしまい二度と会うことはできなかった。

「古事記」にも「国生み神話」で名高いイザナギとイザナミの話がある。イザナギは火の神を産んだ際の火傷で死んでしまった妻・イザナミを迎えに冥界=黄泉の国を訪れた。しかしイザナミは黄泉の国の穢れに当てられ醜い姿になっており、イザナギは慌てて逃げてしまう。怒ったイザナミはイザナギを追うもイザナギは辛うじて逃げおおせた。このあとイザナギは川で黄泉の穢れを洗い落とし、清められた目や鼻から、アマテラスやスサノウが生まれた。

穢れを落としたら神が生まれたというほど、冥土=黄泉の国とは穢れたもの、忌むべき世界であった。

■日本人の心性に根づく「冥」の概念

いずれも物語に描かれている冥界は、とても天国極楽とは思えずむしろ地獄に近い描写である。

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