世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第295回 「カネ」と「技術力」 (1/3ページ)

週刊実話

 現在の日本はいまだにデフレーションから脱し切れていない。直近データである2018年9月の消費者物価指数は、コアコアCPI〔食料(酒類除く)、エネルギーを除く総合〕が対前年比+0.1%。8月は+0.2%だったため、状況は「悪化」していることになる。

 左図の通り、日本のコアコアCPI(対前年比%)は、消費税増税で一時的に跳ね上がり、その後は見事に失速した。’17年にはマイナスに戻ってしまい、一向に回復しない。デフレーションとは、貨幣現象とやらではなく「総需要の不足」という経済現象である。つまりは、実体経済における消費、投資が不足しているのだ。

 政府はデフレ脱却のために、とにかく「消費」と「投資」を増やす必要がある。より具体的には、GDPの「政府最終消費支出」「公的固定資本形成」という需要項目を拡大するのだ(無論、減税で民間の消費、投資を増やすことも必要だが)。

 これほど単純明快な話はないのだが、政府はなかなか財政拡大に乗り出そうとしない。結果的に、過去20年間、日本国は次第に小国化し、国民は貧困化。すでにアジア諸国と比べても、賃金水準で負けている有様だ。間もなく、移民受け入れどころか、日本人がアジアに移民に行く時代が訪れるだろう。

 また、米中貿易戦争からも分かる通り、アメリカを覇権国としたグローバリズムは、中国共産党という「挑戦国」を出現させ、防衛面の安全保障も悪化している。さらに、北朝鮮の核ミサイル問題も、全く解決していない。つまりは、わが国は防衛費を拡大しなければならない局面なのだ。

 とはいえ、「需要」という面に限れば、日本の防衛面の安全保障を強化するべく政府が支出を増やせば、需要創出になる。つまりは総需要不足が埋まる。防衛力強化とデフレ脱却が、一気に実現するのである。これほど処方箋が明確な国など、日本以外に存在しない。

 ところが、10月24日、信じがたい報道が流れた。何と財務省が財政制度等審議会において、防衛装備品の調達方法を見直し、少なくとも今後5年間で1兆円規模のコスト削減を進めるべく、防衛省に求める方針を明らにしたのだ。目を疑うとは、まさにこのことだ。財務省は、具体的には入札の際の「競争」を増やせと要求している。

「世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第295回 「カネ」と「技術力」」のページです。デイリーニュースオンラインは、連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧