秋津壽男“どっち?”の健康学「様々な治療法が確立されている前立腺ガン。最もリスクが低い治療法はどれか」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「様々な治療法が確立されている前立腺ガン。最もリスクが低い治療法はどれか」

 先週は、ガンの部位別5年生存率をお伝えしました。最も生存率の低い膵臓ガンの5年生存率が7.9%なのに対し、前立腺ガンは97.5%と、5年後に亡くなっているケースはごくわずか。「死なないガン」と言ってもいいでしょう。

 前立腺は男性だけにあり、精液に含まれる前立腺液を作っています。前立腺ガンは初期症状がありません。ガンが大きくなると尿道を圧迫され、尿が出にくくなったり、頻尿になったり、残尿感を覚えることで気づく場合があります。前立腺肥大症と同じく、夜間尿が多くなるのも特徴です。

 前立腺ガンはガンとしての悪性度は低い傾向にあり、進行はスローで生命の危険が少ないケースも多々あります。体への影響が小さいと診断された場合は経過観察を行いますが、症状やステージによっては、転移を防ぐため、すぐに治療を行います。個人個人の症状により治療方針が異なるので、選択すべき治療法のリスクを頭に入れておきたいところです。

 では、ここで質問です。前立腺ガンと診断された場合、治療法としてリスクが低いのは「手術」「放射線治療」「ホルモン治療」のうちどれでしょうか。

 前立腺ガンの治療法で最も効果的なのは「ホルモン治療」です。子宮ガンにかかった女性が卵巣を摘出するのと同じ理屈で、男性ホルモンをなくせばいいわけです。

 現在では「科学的除睾術」と呼ばれている治療法がメインです。男性ホルモンを打ち消す薬を飲んで前立腺を小さくする=ホルモン治療ですが、この場合、去勢によって女性っぽくなります。ヒゲは薄くなる、胸が膨らむ、肌が艶っぽくなる、勃起がしづらくなるなどの副作用が存在します。しかし、いわゆる抗ガン剤の副作用とはまるで異なるため、ホルモン治療を受ける人は年々増えています。

 放射線治療とは前立腺を放射線で焼く手術です。赤外線が皮膚を通過して前立腺に照射されるため、痛みはありません。皮膚を焼かずにガンだけを焼くものです。通院治療できるのがメリットですが、治療期間が長引くケースが多く、ホルモン治療や除睾術と同じく、男性機能喪失のリスクが伴います。

 この放射線治療は「X線療法」と呼ばれますが、近年は粒子線治療という新たな治療法が確立されています。

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