中国人の需要止まらず…『象牙』の密輸2トンは氷山の一角!?

週刊実話

中国人の需要止まらず…『象牙』の密輸2トンは氷山の一角!?

 世界の「野生生物犯罪」は、今や薬物、偽造品・偽造貨幣、人身売買に次ぐ国際的な犯罪となっており、その取引規模は年間2兆円とも推定されている。

 そんな折、中央アフリカにあるタンザニア連合共和国の裁判所は2月19日、アフリカゾウの象牙約2トン(706本)をアジアへ密輸していたとして中国人のヤン・フェングラン被告に禁錮15年を言い渡した。ヤン被告は同国で著名な起業家として知られ「象牙の女王」との異名を取っていた。

 「女王が密輸に取り組んだ期間は2000年から14年間にわたり、その総額は270万米ドル(約2億9600万円)に達しています。最終的に懲役30年の有罪判決となる可能性があります。起業家とは表の顔で、裏では犯罪者だったのです」(国際ジャーナリスト)

 しかし、女王の摘発でアフリカゾウの密猟がストップするわけではない。密輸や密猟の標的になっているのは、アフリカゾウと象牙だけではないからだ。サイの角やトラの骨など絶滅のおそれのある野生生物から作られた製品に対しては、今も中国では大きな需要があり、こうした希少性がさらに高値での取引と密猟を呼ぶ原因になっている。

 「中国の象牙需要は世界一といわれていますが、世界からの非難が高まる中、中国政府は昨年、象牙製品の輸入を禁止すると発表しています。とはいえ2トンもあれば当分の需要は賄えるし、価格も高騰しますからね。17年7月に香港税関は、コンテナに隠された7.2トンの密輸象牙を押収しています。象牙のすべてが密猟によるものだとすると数百頭のゾウが犠牲になったことになります。年に2万頭を超えるアフリカゾウが密猟されている中で起きたこの摘発は、過去30年で最大級の規模とみられており、象牙の違法取引を巡る国際的な組織犯罪の深刻さを物語っています」(同)

 香港政府の発表によると、密輸品は積荷が冷凍魚介類と記されたコンテナの中から見つかり、時価7200万香港ドル(約10億円)と推定された。

 「香港と摘発された貨物船の直近の寄港地であるマレーシアは、ともに違法取引の『2大中継地』であることがETIS(トラフィックが管理するゾウ取引情報システム)による象牙の違法取引動向の分析で分かっています。香港の場合は、違法象牙の最終市場である中国各地へのアクセスの良さと、野生生物犯罪に科される罰則の緩さから、犯罪ネットワークが密輸の中継地として目をつけ、利用していると考えられます」(同)

 ETISの分析によれば、現在、日本が密猟された象牙の輸出先になっている可能性は低いが、中国への密輸は止まることがない。女王が摘発されてもアフリカゾウに安らぎはやって来ない。

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