やくみつるの「シネマ小言主義」 ★見ると幸せな気持ちになる、バディ映画 『グリーンブック』 (1/2ページ)

週刊実話

やくみつるの「シネマ小言主義」 ★見ると幸せな気持ちになる、バディ映画 『グリーンブック』

 ここ何年かで見た映画の中で1、2位を争うほど(やく史上)面白い映画です。でも、出てくるのはおじさん2人。題名は『グリーンブック』と地味で、今一つ本来の面白さが伝わりません。

 今年度のアカデミー賞に決まったこの作品、実話読者の方にもぜひ、見に行っていただき、周りの方々に拡散してほしいと思います。

 何が面白いって脚本がよくできています。最初に出てくる何気ないエピソード、そのすべてが伏線になっていて、後半へ次々とつながっていくので「そういうことか」と爽快感と安堵感が波状的に押し寄せてきます。

 そもそもこれ、実話に基づいていて、主人公のイタリア系用心棒トニー・リップの息子が製作・共同脚本。つまり、父親から繰り返し聞かされていた「黒人天才ピアニスト」ドクター・シャーリーとの2カ月間の旅を50年後に映画にしたという、ちょっと心温まるイイ裏話があります。

 たった50〜60年前のことですが、アメリカ南部では黒人が夜に外出することすら禁止され、どんな有名人でも〈黒人用旅行ガイドブック=グリーンブック〉に掲載された施設しか利用できなかった。それほど根深い差別意識が当時まだあった事実は知りませんでした。

 幼い頃に才能を認められ、高い教養と地位を得たがゆえに同胞からも避けられ、深い孤独の中で生きるドクター・シャーリーを次第に理解していくのは、黒人に偏見を持つ親族の間で育ったイタリア系移民のトニーです。

 白人至上主義をうたい、移民を排除する壁に固執するトランプ政権が現在進行形で存在する今、この映画の中の複雑な差別感情は過去のものではないはずです。自分も旅先などで、白人より、むしろアフリカの地元民から、我々黄色人種に対して差別的な態度をされたことは少なくないですから。

 さて、私は50〜60年代のアメリカを描いた映画のセットや車が大好きでして、今回ものっけからNYのナイトクラブ「コパカバーナ」前に止まるシボレーのイエローキャブに釘づけです。

 実話の読者でしたらきっとご存知かと思いますが、昭和40年代に男子の間で大流行したのが「マッチボックス」という1台150円(当時)のミニカーシリーズ。その№20がシボレーのイエローキャブです。

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