空気中に漂うウイルスを99.9パーセント殺す装置が開発される(米研究) (1/2ページ)
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炎やアーク放電など、プラズマは高温を発する性質がある。しかし気圧を下げると、低温でもプラズマが発生するようになる。これが非熱プラズマだ。
その利用は以前から進んでいるのだが、これを応用して、新たに空気の殺菌を行う装置が開発された。空気の中を漂う危険なウイルスをプラズマで駆逐する超高性能フィルターである。
・厄介な空気感染するウイルスを殺菌
『Journal of Physics D: Applied Physics』に掲載された研究によれば、非熱プラズマはこれが大の得意で、空気中のウイルスのじつに99.9パーセントまで殺せるという。
ウイルス(はしかなど)の中には空気に漂いながら数キロも生きられるものがある。
この空気感染を可能にする特性は、そのウイルスの感染力を高めるだけでなく、予防を大いに難しくする厄介なものだ。
しかし非熱プラズマを利用した新しい装置は、この状況を一変させる潜在能力を秘めている。
建物に組み込めるよう設計された新開発のリアクターには、ホウケイ酸塩ガラスビーズが筒状に詰められている。
このリアクターは空気が流れ込むようにできている。そして気流がビーズの隙間を通過するとき、そこに漂うウイルスを「ラジカル」という不安定な原子によって酸化してしまうのだ。
その殺菌効果は恐るべきもので、コンマ数秒という瞬く間に、ウイルスの99.9パーセントまでを除去することができる。