プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「マスクド・スーパースター」日米マットを沸かせた名脇役の“流星仮面” (1/2ページ)
プロレスにおいて、絶対的なエースを輝かせるために欠かせないのが名脇役である。星柄をあしらった覆面姿が印象深いマスクド・スーパースターはまさしくそんな存在で、誰が相手でも、誰とタッグを組んでも、常に安定して好勝負を披露してくれた。
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日本の代表的マスクマンといったときは、歴代タイガーマスクを筆頭に獣神サンダー・ライガー、ザ・グレート・サスケなど、すらすら名前が挙げられよう。
では米国は? となるとこれが一転して難しくなる。パッと思いつくのはミル・マスカラスや近年のレイ・ミステリオだろうが、どちらも“米国で活躍するメキシカン”の印象が強い(ミステリオは米国生まれのメキシコ系アメリカ人)。
純粋な米国産としてはザ・デストロイヤーがいるものの、実はその活躍は北米地区に限られているし、全日本プロレス旗揚げ後の主戦場は日本であった。
「米国では州ごとにスポーツ興行のルールが定められていて、かつては“覆面着用禁止”とされるところもあった。スポーツベットの対象になった際、マスクマンだと正体が分からず八百長が生じやすいというのが、禁止の理由だったようです」(プロレスライター)
覆面レスラーとして名前を売っても、多くの地区を渡り歩けないのでは、むしろ損をしてしまう。
「マスカラスが大人気を博したことで覆面を許可する州も増えましたが、現在は顔面ペイントが主流ですから、マスクマンは思ったほど多くない」(同)
長期にわたって米国内で活躍したマスクマンとなると、ミスター・レスリングやザ・スポイラー(スーパー・デストロイヤー)に、マスクド・スーパースター、あるいはフルフェイスではないがマスクっぽいものを着用していたビッグバン・ベイダーぐらいのもので、このいずれかが米国を代表する覆面レスラーということになるのだろう。
「スーパースターは日本だと脇役キャラのイメージが強く、1979年にアントニオ猪木との賞金3万ドル&マスク剥ぎマッチに敗れていったんは素顔になりながら、その後、また覆面をかぶって復活しています。主役級の外国人であれば“約束破り”と非難を受けるところですが、特に文句がついたという話は聞きません。