死ぬも生きるも兄弟一緒!平安時代、数万の軍勢に突撃したたった2人きりの零細武士団の武勇伝 (4/4ページ)

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折り重なって倒れ伏し、討ち取られる河原兄弟(右)。『平家物語絵巻』より。

後刻、献上された河原兄弟の首級を前に知盛は

「この者らこそ一騎当千のよき武士と言うべきだ。命を助けてやりたかったが、誠に惜しいことだ」

【原文】
「あつぱれ剛の者や、これらをこそ、一人当千のよき兵どもとも言ふべけれ。あつたら者どもが命を助けてみで」

と賛辞を贈ったそうです。

終わりに

よく「死んで花実が咲くものか」と言いますが、たった二人の兄弟が、どっちも討死してしまったら恩賞どころか御家の存続さえままなりません。

歌川国芳「生田森追手源平大合戦」弘化年間ごろ

しかし、その一方で「人は一代、名は末代」とも言うように、命以上に名誉を重んじた武士たちにとって、たとえ家は絶えようと名が残ることに価値を見出す生き方・死に方もまた是(ぜ)とされるものでした。

ただ生きるだけが至上の価値ではない。必ずしも「死んでおしまい」ではない――その希望こそが、無数の零細武士団をして新しい武士の時代への血路を斬り拓かしめた原動力となったのでしょう。

※参考文献:
石母田正『平家物語』岩波新書、昭和三十二1957年
小松茂美編『平家物語絵巻 巻第九』中央公論社、平成七1995年5月25日

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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