医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<食塩感受性高血圧>「塩分を控えても血圧が下がらない!?」

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医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<食塩感受性高血圧>「塩分を控えても血圧が下がらない!?」

「高血圧」は動脈硬化や心臓疾患などさまざまな病気を誘発するおそれがある。中でも塩分摂取が原因で引き起こされる「食塩感受性高血圧」をご存じだろうか。

 塩を摂りすぎると血圧が上がることはよく知られているが、塩分を摂り血圧が高くなる人とならない人がいることが最近の研究で解明されたのだ。前者が「食塩感受性高血圧」と呼ばれ、後者は「食塩非感受性高血圧」という。

 腎臓は本来、食塩の摂取量と関係なくナトリウムの排泄量を調整し、血圧を一定に保つ機能を持っている。ナトリウム濃度が低下すれば腎臓で再吸収し、反対に濃度が高くなれば腎臓から排出する。「食塩非感受性高血圧」は、塩分を摂りすぎても腎臓から排出することができるので血圧は上昇しない。しかし「食塩感受性高血圧」は、塩分の排出がうまくできないため、血液中のナトリウム濃度が上がって血圧も上がる。

 さまざまな研究が進められる中で「食塩感受性高血圧」は遺伝との相関関係があることがわかってきた。それによれば、親など身内に高血圧の人がいる場合は「食塩感受性高血圧」になる可能性が高くなると言える。

 予防策としては、生活習慣の改善に加え、「減塩」(1日6グラム未満)や、野菜や果物、魚を積極的に摂取することがオススメ。コレステロールや飽和脂肪酸の多い食事を控えることも大事で、適度な運動や禁煙、節酒を心がけてほしい。

 ただし、生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない可能性もある。その場合、信頼できる医師の指導のもと、降圧剤を適切に使用することが必要だ。ちなみに高血圧というと、たびたび変更される基準値に一喜一憂しがちだが、02年に雑誌「Lancet」に掲載された論文によると、さまざまな病気のリスクが最小になる数値は「上が115/下が75」だという。日頃から塩分の摂取に気をつけて高血圧の予防が必要だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

「医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<食塩感受性高血圧>「塩分を控えても血圧が下がらない!?」」のページです。デイリーニュースオンラインは、食塩感受性高血圧週刊アサヒ芸能 2019年 9/19号田幸和歌子診察室のツボ生活習慣社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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