株式投資初心者でもわかる「含み資産株」に今注目すべき理由

デイリーニュースオンライン

 企業は預金のほかにも、ビルや工場などの不動産、株や債券などの有価証券といった資産を抱えています。日本では、長きに渡って資産を取得した時の原価で会計処理されてきましたが、2000年に有価証券については時価で会計処理する時価会計が導入されました。

 不動産についても、資産価値が著しく目減りした場合には、会計上で損失処理をすることが義務付けられているほか、投資目的の不動産、遊休不動産、賃貸用不動産に関しては時価で会計処理されるようになっています。

 しかし、事業用の不動産に関しては時価会計のルールがいまだ適用されていません。そのため、企業によっては資産価値の時価が簿価を大きく上回る土地や不動産を抱えています。これが「含み資産」であり、この含み資産を多く抱える企業の株が「含み資産株」と呼ばれています。

資金が集中する局面は必ず訪れる!?

 含み資産株は、1980年代後半のいわゆる不動産バブル期に人気化し、都市部や東京の臨海部に土地や不動産を持つ企業の株価が爆発的に上昇した経緯があります。

 現在、安倍首相が提唱しているアベノミクスでは、デフレからインフレへの転換を目標のひとつにあげています。2013年4月に日銀が異次元とも呼ばれる金融緩和を行ったのもそのためですが、それにより、よみうりランド(9671)や東京都競馬(9672)に代表される含み資産株は大きく買われました。インフレが進めば、不動産バブル期と同様、株や不動産に資金が集まると目されたからです。

 しかし、同年5月に平均株価が急落して以降、それら含み資産株は完全に相場の圏外に置かれています。その後は新興株や小型成長株に人気が移り、その人気は次第に大型株へ。現在は円安を背景とした輸出関連株が買われています。これは、日本の株式相場が上昇を続けていく過程で、循環的な物色が起きている最中ということなのです。

 現在、日本は確実にインフレへと向かっています。そうなれば当然、企業の土地や不動産の価値は上昇します。「事業用の不動産は売却しないし、その価値が上がっても意味はない」という論調もありますが、実際の価値がどうこうではなく、株価は投資家が注目すれば騰がるものです。現在は相場の圏外にある含み資産株ですが、大型株への物色が一巡すれば、含み資産株に資金が集まる局面が再び訪れるのはほぼ間違いないと考えることができるのです。

※投資にあたってのあらゆる意思決定、最終判断、実際の売買はご自身の責任において行われますようお願いいたします。投資による損失について、本サイトおよび著者は一切、責任を負いません。

新井奈央(あらいなお)
マネーライター。株式評論家・山本伸のアシスタントを務め、株や経済を勉強。その後フリーライターとして活動し、株や為替などを中心に投資全般の執筆を手掛ける。マネー専門のライターとして雑誌や書籍などの執筆で活躍中。そのかたわら、銘柄の紹介にも携わり、夕刊フジの月間株レース「株−1グランプリ」では、出場3度のうち2度、月間チャンピオンの座についている。
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