バレーボール男子決勝…なぜいつも日本で国際大会?【アジア大会】

デイリーニュースオンライン

 韓国・仁川で行われているアジア大会・バレーボールで日本代表(男子)が決勝で3日夜、強豪イランと対戦する。バレーボール日本男子は前回のアジア大会では金メダルを獲得している。バレーボール日本女子は3位決定戦でタイに0―3で敗れ、4位に終わった。それを受け、日本男子には雪辱の期待がかかっている。

 しかし、そんなアジア大会での彼らの活躍を見ていて、ちょっとした違和感を持った。ガラガラの会場、淡々と進む試合展開……いつもと風景が違うのだ。いつもというのは、なぜか毎度のように日本で開催されているバレーボールの国際大会のことだ。"いつも"であれば、「ニッポン、チャチャチャ!」のチャントが聞こえてくるはずの試合会場だが、今回のアジア大会にはそんな盛り上がりはない。その背景を語るのはスポーツ紙記者だ。

「バレーボールの国際大会はオリンピック、世界選手権、ワールドカップの順で格付けされ、それに続く存在としてワールドグランドチャンピオンシップ(グラチャン)が93年に立ち上げられました。そのうち、ワールドカップとグラチャンは毎大会、無条件に日本開催が義務付けられています。そもそも、グラチャンは某広告代理店が日本テレビと組んで立ち上げた”疑似”国際大会で、低迷する日本チームが海外強豪に挑戦するというコンセプトからして、国際大会として取り扱っていいのか。正直、メディアとしては微妙なところなんです(苦笑)」

 当然ながら、これらのバレーボールの国際大会はすべてFIVB(国際バレーボール連盟)主催となっているが、ここまであからさまに業界全体で“日本偏重”している競技は珍しい。国際大会の約半分が日本開催というのは異常である。

「FIVBというのはいわば某広告代理店の子会社のようなもの。国際連盟全体として見ても、8割以上を日本からの収入で占めているという報道もありました。日本のテレビ局が支払う放映権料の莫大さを知っているだけに、各国のバレーボール協会も国際大会が毎回日本で開催されることに拒否感を示していません」(前出のスポーツ紙記者)

 とはいえ、日本の広告代理店主導でやりたい放題になった「グラチャン」には毎回、ジャニーズの人気タレントが絡むなど、スポーツ競技としての品質を問われる事態になる。

「バレーボール界は、95年のV6、99年の嵐、2003年のNEWS、2007年のHey!Say!JUMP、2011のSexy Zoneなど、ジャニーズ事務所が開催に合わせて新人をデビューさせて、中継番組のテーマソングを歌わせるなど露骨な商業主義が行き着いてしまった。その結果、ジャパンマネーに頼っていたFIVBもさすがに批判を恐れ、試合前のパフォーマンスを正式に禁止するなど融和策を計っています」(前出のスポーツ紙記者)

 実際に現場で戦っている各国代表団も思うところがあるようだ。

「2011年の日本開催ワールドカップでは、イラン男子代表のベラスコ監督が、日本の試合だけテクニカルタイムアウトの時間や第2、第3セット間の休憩時間が長いことを批判しています。それに対し、FIVB広報担当は『大会中継権を持つテレビ局から要請があり、FIVBが承認すれば時間変更できるルールになっている』と苦し紛れのコメントを発表しました。ベラスコ監督は『こんなことをやっているのはバレーボールだけ』と憤慨しましたが、かつてイタリア代表を率いた名監督の発言だけに業界全体に波紋を呼びました」(アジア大会を取材しているスポーツライター)

 考えてみれば、私たちが見てきたバレーボール日本代表の試合はいつも日本という圧倒的なホームで行われてきたものだった。館内を埋め尽くす若い女性ファンの嬌声、圧倒的な大音量での日本応援チャントなど、いつもは当たり前に感じていたバレーボールの国際試合だったが、今回のアジア大会の地、韓国という“アウェー”ではそんな状況であるはずもない。だからこそ、アジア大会決勝では、バレーボール日本男子に意地を見せてほしいところである。

(取材・文/阿蘭澄史)

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