【警察密着24時】「交番」と「駐在所」の違いとは?

デイリーニュースオンライン

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実は交番より駐在所のほうが数が多い!

「警察24時」のような各局の警察密着番組で、よく出てくるのが泥酔者が押し寄せる繁華街の忙しい交番のシーン。もうひとつは老人たちが世間話をしにやってきて、憩いの場となってしまった田舎の駐在所のシーンだろう。

 では、日本の警察における交番と駐在所はいったいどう違うのか。なんとなく知っているのは、交番が都市部にあり、警察官が交代で勤務する形態を取っているのに対し、駐在所は山間部や離島などの僻地にあり、警察官とその家族の住居をも兼ねているという点だ。ちなみに全国の交番の数は6248か所、駐在所は6614か所(2003年4月時点)あり、だいたい半々だが、意外にも駐在所のほうが数が多いのだ。

 実際の勤務形態や仕事はどう違うのか。まず、交番を見てみよう。関西のある都市の繁華街の交番に勤務したことのある現役の警部補は言う。

「交番の所長は警部補か古手の巡査部長が務めますね。私のいた交番は常に2~3人いる状態で24時間交代の勤務でした。昼間は道案内や落し物の問い合わせ、地域巡回(パトロール)であっという間に時間が過ぎていきます。夜は夜で、飲食店でのケンカやトラブルが起こる。関西では、まだまだ暴力団が繁華街で幅を効かせているので、暴力団と半グレの小競り合いもよく起こる。大勢出てくるようなケンカは交番だけでは対応できないので、本署の応援を仰ぐことになる。応援が来るまで、緊迫した状況を抑えられるかどうかが交番勤務の役割です。繁華街の交番ほど屈強で若い警察官が求められる。まぁ、警察学校を出たての初任巡査は、繁華街の忙しい交番で勤務したほうが鍛えられますよ」

警察官の妻にも月数万円の報償費が支払われる!?

 一方の駐在所はどうか。駐在所に勤務経験のある関西地方の警視はこう解説する。

「駐在所には、仕事をする部分の施設のほか、警察官と家族が住む住居スペースがあります。私がいたところは、2階部分が住居で、6畳間が2間ありました。住居スペースの扱いは『官舎』となっていて、賃料は無料です。電気代や水道代は、駐在所部分と住宅部分で分けられていて、住宅部分は当然、住んでる者が払います。私は妻と一緒に赴任しましたが、私がパトロールに出ている際、妻は駐在所で代わりに職務をこなさないといけない。だから妻にも『報償費』が支払われるんです。金額は場所によって異なりますが、だいたい月額5万円~10万円ほどでしょうか」

 限界集落や離島では、警察官は“駐在さん”と呼ばれて尊敬され、その共同体の主として地域社会の安全に貢献できるので、仕事のやりがいがあるという。だが、犯罪はほとんどおきない半面、住民は高齢者が多いので、四六時中、地域の高齢者の話し相手をしないといけない。プライバシーもほとんどなく、駐在所勤務の警察官の妻はノイローゼになってしまうこともあるという。そのため、最近では単身で警察官が赴任したり、警察官同士で結婚した者を駐在所勤務にするケースが増えてきているという。

 交番と駐在所では、警察官の勤務形態はもちろん、プライベートの生活まで大きな違いがあるようだ。

(文・秋山謙一郎 写真/雷一鴻)

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