米倉涼子「ドクターX」のような"フリー医師"は実在するのか?

デイリーニュースオンライン

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テレビ朝日・番組公式HPより

話題の高視聴率ドラマ最新作の今回の舞台は?

 米倉涼子が主役を務める人気ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)のシリーズ第3弾が、10月9日からスタートした。

 ドラマのなかでも「医療モノ」は手固く視聴率を見込めるジャンルだとされているが、なかでもこの『ドクターX』は近年を代表するヒット作だ。2012年10月から放送された第1弾は、平均視聴率が同年の民放連続ドラマ1位となる19.1%、最終回24.4%(ともに関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)を記録して向田邦子賞を受賞。2013年10月から放送の第2弾では、平均23.0%、最終回26.9%と第1弾を大きく上回る記録を叩き出している。

 ご存じのとおり、このシリーズは「フリーランスの外科医」である大門未知子が大病院という権力組織のなかで型破りな活躍をするのが見どころだ。前2作では、大学病院という組織に属しているだけで偉そうにしている教授センセイたちを、一匹狼の未知子がスキルで蹴散らす痛快さが視聴者を魅了した。

 第3弾では、日本の医療の頂点「国立高度医療センター」に舞台を移してストーリーが展開する。ドラマの公式サイトでは“史上最大の戦い”と謳われ、否応なしに期待が高まるところだが、ここで素朴な疑問。フリーの医師が大病院で活躍するだとか、腕一本で病院を渡り歩くだとか、そんな話は現実世界にもあるものなのだろうか?

現役ドクターが証言「外科医の外注化はムリ!」

「内田有紀さん演じる城之内博美のようなフリーランス麻酔科医はそれなりに存在して、その数は少しずつ増えています。また、国立がんセンターが2008年の麻酔科医集団辞職後に業務の一部をフリーランス医に委託するなど、フリーの麻酔科医に依存せざるを得ない大病院も存在します。しかし、大門未知子のようなフリーランス外科医は、現実にはほとんどいません」

 こう教えてくれたのは、フリーランス麻酔科医として現役で活躍する筒井冨美先生だ。麻酔科医は外科手術には欠かせない存在で、いわば外科医の“相棒”的存在である。

「麻酔科医は直接に患者の主治医とはならない業務のため“手術1件あたり◯万円”といった出来高制の契約がしやすいのですが、外科医の場合は、手術のみで仕事が完結せず、自分が執刀した患者の術後診療にも当たらねばなりません。術後の容態や症状もケースバイケースで、関係部署との連携も不可欠であるため、業務のアウトソーシングがしにくいのです」(筒井医師)

 都内の有名大学病院に勤務する男性外科医もこう語る。

「大門未知子のように医師紹介所から派遣されてくる外科医は、どこの大学病院にもいませんね。規模の小さな市中病院やクリニックならいるかもしれませんが。最新シリーズの舞台は、国立高度専門医療センターなんですよね。国立がんセンターや国立循環器病センターなどがモデルになっているのでしょうが、そういった機関にもフリーの医師はまずいないでしょうね」

 残念ながら、“ドクターX”はやはり現実にはいないようだ。

 群れない、媚びない、クールな一匹狼の天才外科医。白衣の下はミニスカートにハイヒールとセクシーな出で立ち――。大門未知子のキャラクター設定に1ミリもリアルさはないが、視聴者に共感とカタルシスをもたらしたのは、閉塞的な組織のなかで自分の信念を貫き孤軍奮闘する姿だろう。

 今季も、米倉涼子の美しいお御足とともに、ドラマならではの胸のすくような立ち回りを堪能したい。

(文/神田川めぐる)

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