高額エントリー代、チケットノルマ…ダンス業界の夢なき懐事情

デイリーニュースオンライン

 深夜、電気の消えたオフィスビルのガラスにカラダを映し、ダンスの練習を行っている若者を目撃することが多くなった。その光景からか、〝ストリートダンスはお金のかからない"という認識を持つ人も多いようだが、実はそうではない。ダンス業界には、切実な懐事情が存在しているのだ。

 ストリートカルチャーのなかでも、スケーターはスケートボードを買う必要があるし、BMXライダーはBMXを手にする必要がある。しかしストリートダンスは、ほかのダンスジャンルであるバレエのように、専用のウェアーやシューズがあるわけでもない。

 にもかかわらず、現在のストリートダンサーはいろいろとお金がかかるのだ。

ダンススクールの発表会に10万円

 では、現在のダンサーは何にお金がかかるか挙げてみよう。

 まず、ストリートダンス人口が増えつつあるとされてはいるが、そのほとんどが、ダンススクールに通うダンサー。そのため、当然だがダンススクールの月謝がかかる。スクールによってチケット制や受け放題制といろいろな料金システムがあるが、平均して1ヶ月の月謝は約1万円というところだ。

 そしてもっともお金がかかるのが、発表会。発表会とは、日ごろダンススクールでレッスンしたダンスを披露するイベントなのだが、このダンススクールの発表会への参加は、参加費や衣装代、チケットノルマなどで10万円以上が必要になる。発表会でダンス関係者の目に留ればプロへの道も開けるとあって、夢を抱くダンサーが数多く参加しているのだ。

 そして、プロの道へ進むことができずとも、スクール卒業後には次のステップへ進むのが通例。だが、その次のステップもまた、お金がかかるのである。

オーディションにもエントリー費が必要!?

 ダンスコンテストやダンスバトルへのエントリー費。イベント出演に当たってのチケットノルマ。さらには、バックダンサーオーディションにもエントリー費な場合も珍しくはない。さらには、合格してもバックアップするライブのチケットノルマが発生することもある。

 近年、CDが売れずにアーティストの予算も減るなか、ライブにバックダンサーを付けるのも困難になりつつある。その打開策として、バックダンサーの振付師やオーディション運営費をまかなうために、オーディション参加にエントリー費を設定する仕組みになっているのだ。

 いずれにせよ、ダンスを続けていくにはお金がかかる。キッズダンサーも急増し、ダンススキルも世界トップクラスの日本において、現行のダンス業界は夢のある世界であろうか。こうした現状に対し、声を上げる団体やダンサーが出てきているのも事実。今後、ダンス業界はどう変化していくのだろうか。

(取材・文/bashment)

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