【神戸女児遺棄】君野容疑者と"学会"の関係を神戸市議に直撃

デイリーニュースオンライン

ムショ帰りの君野を迎え入れた創価学会の思惑

 10月21日、神戸女児遺棄殺件の容疑者・君野康弘(47歳)が黙秘から一転、事件への関与を認めた。君野容疑者の足取りを取材すると、そこには“貧困”という「カネと票」になるエサに群がる政党やNPOが存在していたことが明らかとなった。とくに君野容疑者と創価学会との関係では、生活保護受給をめぐり「口利き」があったという話もあった。前編(容疑者の背後に存在した「貧困というカネと票」)に引き続き、今回は事実関係を公明党の市議に直撃した!

 そもそも君野容疑者が出所したのは2013年の6月のこと。この頃、地元の創価学会関係者と君野容疑者の縁ができているが、なぜ「ムショ帰り」の君野容疑者に創価学会関係者が入れ込んだのか。

「2013年10月には神戸市長選挙がありました。この選挙では自民・民主・公明が押す現市長が約5600票という僅差で競り勝つという難しい戦いだった。公明党の支援母体・創価学会としては、支援者をひとりでも多く囲い込みたい。そんな心理から“曰くつきの問題物件”である君野容疑者という毒饅頭を手にしてしまったのではないでしょうか。6月に出所した君野容疑者は、10月の神戸市長選挙にはもう選挙権がありますから」(週刊誌記者)

 創価学会関係者と良好な関係を築いていた君野容疑者だが、すぐに正式入会したわけではない。地元兵庫県の創価学会関係者はその内情をこう明かす。

「創価学会では今、新規入会者は座談会への参加や聖教新聞購読の意思を示すなど、いくつかのハードルを越えてやっと入会となります。君野の場合、学会は当然、入会を渋った。理由は前科があること、酒を飲んで暴れるなどの素行が悪いこと。さらに『学会に入ると生活保護受給など手厚いから』と組織利用目的での入会希望をほのめかしたからです。でも、最終的には受け入れてしまいました。『宗教は人を選べない』というのがその理由です」

「口利きはなし」短期間で生活受給決定の舞台裏

 ここで一旦、2013年年5月、君野容疑者の出所時に時計の針を戻す。

 君野容疑者が出所後、短期間で生活保護の再受給(入所により中断していた)が決まったことは、アパートが「生活保護受給者向け」であったことからも明白だ。建前上、生活保護は申請から受給決定まで「原則14日以内」(厚生労働省)の日数がかかるという。しかし、受付窓口の区役所では、「面談時、いくら知的障がい者で療育手帳を持っているからといっても、まず行うのは資産状況の聞き取りと就労支援。受給を認めず、水際で帰すことがほとんど」というのが現実だと神戸市職員は言う。

 たとえ、就職条件が厳しいと思われる知的障がい者や前科持ちでも、まずはハローワークで就労機会を得るよう支援するのが区役所の生活保護担当窓口での一般的な対応なのだ。

「君野容疑者のケースでは、出所後すぐに生活保護受給を受けている。これは住所地選出の市議会議員や県議会議員が、受給申請時に同席するなどして“熱心な働きかけ”が行なわれた可能性が高い」(神戸市職員)

公明党市議「私、ITに弱いので……」

 君野容疑者の住所地であり、事件発生地でもある神戸市長田区選出の市議会議員で、創価学会を支援団体とする公明党の所属議員はN市議だ。はたしてN市議は、君野容疑者への生活保護受給を市に熱心に働きかけたのか。少なからず気になるところではある。そこでN市議を直撃した。

――選挙区で起きた事件、政治家としてどう思うか?

N市議「子どもが犠牲になった事件で残念に思います」

――公明党支持母体の創価学会メンバーである君野容疑者と会ったことはあるか?

N市議「会ったことはありません」

――君野容疑者の創価学会入会を創価学会側に働きかけたことはあるか?

N市議「ございません」

――生活保護受給の口利きを行なったとの声もあるが?

N市議「そういったことはしていません」

――この事件について地元政治家として、どういった対策を打ち出すか、なにか追求する予定は?

N市議「私、わかりません。これから勉強します」

――わからないというのは政治家として、また福祉を標榜する政党・公明党の政治家としては無責任の謗りを免れませんが?

N市議「できることをひとつづつやらせて頂きます」

――この件で地元政治家として、ご自身のHPなどでコメントを出す予定は?

N市議「IT関係弱いので。そのつもりはありません。その予定もありません。勉強します」

 こうしたN市議の対応について地元創価学会関係者は、「公明党の地方議員は、創価学会職員よりも学会内部では地位が低い。創価学会の使い走りみたいなもの。彼女もまさかこんな事件が起こるとは思っていなかったのだろう。公明党議員として情けない」と前置きした上でこう続ける。

「N市議の関与はない。実際に、君野容疑者の生活保護受給や寮育手帳交付に便宜を図った者もいない。ただし、同志として善意で相談に乗った学会メンバーはいるかもしれない。それ自体は何も問題はない。問題は事件を引き起こした君野容疑者にある」(地元創価学会関係者)

女児殺害遺棄事件で迷惑する創価学会・公明党

 さて、遺体となって見つかった美玲ちゃんだがこれを包んでたのは「創価学会の機関紙である聖教新聞」(捜査関係者)であることもわかっている。事態を受けて公明党・創価学会は、「聖教新聞購読者数減」「創価学会離れがますます加速する事態」(創価学会幹部)が進むことを恐れている。とりわけ「福祉に強い団体」のイメージが、この事件で泥にまみれたことに「学会内部では危機感を抱いている」(前出・同)という。

 今回、この事件の取材に当たっている全国紙社会部記者、大手週刊誌記者らは、「事件をてこに貧困ビジネスとそこに群がる政党やNPOの関係を暴きたい」とその意気込みを露にする。

 これからの展開次第では、「政局になる可能性もある」(大手週刊誌記者)というこの事件、公明党・創価学会のみならず、今回、名前が出てきた共産党も含め、実際に生活保護受給を認めた神戸市行政など、これまでメスが入れられなかった「福祉のあり方」に一石を投じる事態へと波及しそうだ。今後の動きに注目したい。

(取材・文/秋山謙一郎)

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