エボラ出血熱、西アフリカから日本上陸も爆発感染は「中国経由」か

デイリーニュースオンライン

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広東省だけで不法滞在アフリカ人は10万人!?

 中国広東省で43人がエボラ出血熱陽性――10月22日、そんな衝撃的な記事がエキサイトニュースに掲載された。ところが、この記事は事実誤認もしくは誤植だったようで、配信から数時間後には削除され、「43人は陰性だった」とする記事に差し替えられていた。

 しかしこの誤報が、現実になる可能性も否定できない。

 中国衛生当局の発表では8月23日以降、エボラ出血熱の流行地域から広東省に8672人が移動しており、予断を許さない状況が続いているという。

 実は広東省とエボラ流行地域とは密接な関係がある。広東省広州市には、貿易のため移り住んだアフリカ人が多数おり、”リトルアフリカ”を形成しているからだ。近年、アフリカと中国はビジネスが緊密化しており、貿易額は2100億ドル(約21兆円/2013年、中国海関統計)以上で、日本の6倍にもなっている。広東省内には西アフリカ系を中心に、30万人以上のアフリカ人が居住しているとされており、流行地域との往来は緊密といえる。

 一方で、指摘されているのが中国に不法滞在するアフリカ人の急増だ。広東省のアフリカンコミュニティにも、不法滞在となっている者が少なくない。広東省だけでもアフリカ人の不法滞在者は「10万人以上」(『産経新聞』8月10日付)いるという。そうした事情から「感染の疑いのある者が入国したとしても、その人物の居場所や動線を当局は把握できない」(華南地域の地元紙記者)という指摘もある。

「偽のパスポートやビザで中国に入国するアフリカ人もいます。多くは蛇頭(中国マフィア)にお金を渡してが手配し、出稼ぎにやってくるのです。偽パスポートなどで入国した場合、どこから来たか確かめようがなく、当局もお手上げでしょう」(同)

西アフリカと日本を結ぶ線上に「中国人観光客」

 また、中国とエボラ出血熱が流行する西アフリカの関係も密接だ。中国は経済発展を支える資源の供給先として、早くからアフリカに進出。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、エボラ出血熱が最も流行しているリベリア、シエラレオネ、ギニアと中国との貿易額は2013年、51億ドルに達しており、これらの国々と米国との貿易額の約10倍にのぼっている。また、中国商務部や外交部の統計によれば、これらの3国に住む中国人は約2万人だったが、感染拡大した今年8月以降は1万人程度に減少している。

 つまり、エボラ出血熱の感染拡大後、これらの国から約1万人が中国に帰国しているというわけだ。

「北京や上海の人たちは『広東省へしばらく行くな』と言っています。『アフリカ人が多いからエボラ熱に感染する危険性がある』と本気で思っている。帰国した43人は陰性だったとこちらでもニュースになりましたが、”前科”があるので信じている人はいない。アジア地域でのエボラウイルスのパンデミックは、中国から始まる危険性がある。当の中国人でさえ、そう考えています」(北京駐在の大手紙記者)

 もっとも危惧されるのが、感染病が起こる度に露呈している中国当局の隠蔽体質だ。2002年11月頃から広東省で感染者が確認されていたはずの重症急性呼吸器症候群(SARS)は、2月までWHOへの報告をせず、北京市では患者隠しまで行っていたことが後に明らかとなった。結果、感染地域は中国以外に広がり、10か国で約800人が死亡した。

 さらに2005年に中国各地で鳥インフルエンザが流行した際も、中央政府による責任追及を恐れ、各地方政府が感染者数を過少報告していたことが明らかとなっている 

 一方で、日本政府観光局が発表した今年9月の外国人観光客数では、中国大陸部からの訪問客が最多となり、前年同期比57.6%増となっている。また広東省を中心とした華南地域には、香港を含めると数万人規模の日本人が住んでおり、出張者や旅行者も多く、日本との往来は活発だ。

 遠い国の出来事であるかのようなエボラ出血熱だが、中国経由で日本上陸というシナリオもありえない話ではないのだ。日本の検疫所は、エボラウイルスの流行地域に滞在歴のある人の体温報告を義務化したが、「中国ルート」のような、第三国経由の日本上陸にも同時に目を見張る必要がある。

(取材・文/アズマカン)

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