幸福の科学大学は不認可…文科省vs教団200日闘争の内幕

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下村文科相の”守護霊”までもが被害者!
下村文科相の”守護霊”までもが被害者!

 下村博文・文部科学相が10月31日、来春の開設を予定していた「幸福の科学大学」を「不認可」としたことを明らかにした。同大学については10月29日、大学設置・学校法人審議会が設置不可とする答申を行っていた。今回の決定に加えて文科省は、審査の過程で同大学の開設を予定していた学校法人・幸福の科学学園側に「不適切な行為」があったとして、最長で5年間、同大学の認可を認めない方針だ。

 幸福の科学大学は、千葉県長生村の九十九里浜に近い海沿いの土地に開設される予定だった。宗教法人・幸福の科学が57億円で購入した土地のおよそ半分を学校法人に名義変更。そこに校舎や宿舎、ピラミッド型の礼拝堂などの外枠がすでに建設されていた。

UFOや霊界の技術を研究する!?

 幸福の科学では、この大学を「3000年のエル・カンターレ文明をひらく礎」と位置づけていた。エル・カンターレとは幸福の科学における地球至高神、すなわち教祖・大川隆法総裁のことだ。つまり、大学を足がかりに、大川総裁を頂点とする3000年スパンでの文明を築こうというのである。

 同大学は3つの学部からなっており、文系は「人間幸福学部」と「経営成功学部」、理系は「未来産業学部」。一見、何を専門とする学部なのかよくわからないが、未来産業学部については、学長予定者だった人物が「UFOや霊界の技術を研究する」などと口走っていたこともあった。大学での教育には、大川総裁が歴史上の有名人や存命中の人物の霊を呼び出して語る「霊言」を根底にすえる予定だった。

 今年3月末に文科省への設置認可申請を行ったが、早くも5月には、雲行きが怪しくなっていた。文科省の諮問を受けた大学設置・学校法人審議会から、40項目にもわたる「是正意見」が付されたのだ。このうち、教団側が特に重視したのは、以下の3点。

  • 学部名に前例がない
  • 大学で幸福の科学の教義を教えることに疑義がある
  • 教団職員を長く務めてきた人物は学長として認められない

 これに対して、教団はいきなり“逆ギレ”を始める。教団幹部らは信者向けのメッセージの中で以下のような“戦闘宣言”をした。

「私たちは、この修正は到底受け入れられないものとして、信仰をかけて闘う予定」

 以降、大川総裁は少なくとも8回も下村文科相の守護霊を呼び出し、「邪教の霊が(下村文科相を操って)幸福の科学大学の未来を潰しにかかっている」という陰謀論を示し始めた。霊言収録の場で教団職員が、下村文科相が都議時代に幸福の科学に入信していたと暴露した上で、下村文科相をまるで裏切り者であるかのように罵る場面もあった。

創価大学とどこが違っていたのか

 この時点ですでに、大学設置・学校法人審議会のある委員は、『週刊新潮』と記者の取材に対して、同大学への難色を示していた。

宗教系の大学は世に幾つもありますが、そこではあくまで国際的に通用する基準に達した学問的な教育がなされています。例えば創価大学でも、法学などごく普通のカリキュラムがあります。ところが幸福の科学大学は、全てが『ハピネス(幸福)』で、教育課程が宗教活動そのものになっている
(週刊新潮2014年7月24日号記事に掲載された委員のコメントより)

 後に学長予定者をすげ替えたものの、学部名はそのまま。結局、申請から7カ月後、下村文科相から「不認可」を受けるにいたった。直接の理由は「霊言は科学的合理性が立証できていない」から。

 しかも今後、最長5年間、認可しないというペナルティまで課せられた。審査の過程で下村文科相などの霊言を連発したり、大川総裁の著書を審議会の委員に大量に送りつけるなどしたことが、審議会から「大学設置認可制度の根幹を揺るがすおそれのある問題」とみなされたのだ。ある文科省関係者は、こう明かす。

「加えて学校法人側は文科省職員に対して、認可しなければ面倒なことになるといわんばかりの、脅しとも取れる発言を行っていました。これらの不適切な行為が、ペナルティの理由です」

 幸福の科学大学は、開設計画にも、審査を受ける態度にも、無理がありすぎたようだ。

(取材・文/藤倉善郎)

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