ホラーゲーム『SIREN』の舞台になった廃村に足を踏み入れてみた

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サイレンの舞台、埼玉県は山掴集落に潜入(写真/村田らむ)
サイレンの舞台、埼玉県は山掴集落に潜入(写真/村田らむ)

『SIREN』というゲームをご存知だろうか。2003年、プレステ2のソフトとして発売されたホラーゲームなのだが、あまりの怖さにCMが放送自粛になるなど、伝説的な作品である。舞台はバイオハザードのような西洋ではなく、田舎にいけばどこにでもある日本の村。そこに、とてもリアリティがあった。

埼玉県某所にあるリアル“サイレン村”に潜入

 サイレンの舞台になった廃村が、埼玉県にあると聞き、恐れながらも足を運んでみた。車で山道をどんどん登っていく。眼下には長瀞(ながとろ)ライン下りで有名な荒川が見える。途中からは車道がなくなり、遊歩道を歩いて行く。遊歩道もかなりの傾斜だ。普段の運動不足がたたって、息がゼイゼイと切れる。

 向かっている山村はかつて山掴集落(やまつかみしゅうらく)と呼ばれた場所だという。車道を通すには傾斜がきつすぎたため人が離れ、廃村になったと言われている。たしかに、この道を日常で使用するのはなかなか厳しい。

 木々が生い茂り、昼間なのに薄暗い。なんとかスマートフォンで地図を確かめながら、廃村があった場所にたどりついたが……そこには廃村はなかった。

 黒ずんだ土の上に、赤茶けたトタンや、食器などが散らばっている。荒れ果てた様子だ。……どうやら火が出たらしい。村がそんな状態になっているとはつゆほども知らなかったので、恐怖心がぞぞぞっと沸き上がってくる。

 2013年8月、26歳無職の青年が、ライターで火をつけ、110番に電話。「浦山で山火事。捕まえてみろよ」と警官に伝えたという。

 犯人は、廃村から2キロ離れた場所で逮捕されている。挑発的だったわりには、あっさりすぎる逮捕劇である。捕まりたかったのだろうか? 下手をすると山火事になって、近くにあるキャンプ場も燃えてしまう可能性もあった。本当に悪質な事件だ。

 全部燃えてしまったのか……と残念な気持ちで村の奥に向かうと、突然ボロボロの廃屋が姿をあらわした。村の半分は焼かれずにすんだのだ。

 長年、過酷な自然にさらされただけあって、どの家屋もひどく朽ち果てている。天井は突き抜けているし、基礎はむき出しになり、壁は落ちている。どの建物も、今にも崩れ落ちそうだ。

 廃屋の中に落ちていた紙を拾ってみると、地図だった。日本は大日本だし、インドはイギリス領、中国は支那と書かれている。戦前からこの集落があったことを物語る物証だ。僕が産まれるずっと前から、この村はここにあったのだ。

 もう家屋としての形を保っていられる時間は、ほとんど残っていないだろう。

 集落内にはズラリと並んだ地蔵、苔むした墓場などもあり、かなり怖い。最凶のホラースポットだ。ホラーゲームのモデルになるのもわかる。

 ただ確かにとても怖い雰囲気だが、見方を変えればとてもカッコいい風景である。感動して、写真を撮りまくった。

 廃村の奥には、神社がある。ここはまだ管理されている、生きた建物だ。あまり信心深くない性格なのだが、周りの雰囲気に圧倒されて、お賽銭を置いてお祈りしてしまった。

 埼玉には、鉱山閉鎖のおりにできた廃村や、ダム建設のおりにできた廃村がたくさんある。サイレンのモデルになった廃村も、山掴集落以外にもあるという。普通のデートコース巡りに飽きた人は、廃村を訪れるのも面白いかもしれない。ただし、何が起こっても、自己責任でお願いします。

(取材・文/村田らむ)

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