解散総選挙で『アベノミクスの失敗』の声も株式市場には影響なし!?

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日経平均2万円はもはや射程圏内か
日経平均2万円はもはや射程圏内か

 日本の株式相場は、外国人投資家の売買動向に大きく左右される。売買代金ベースで外国人投資家が6割程度のシェアを握っているのだから、当然といえば当然だ。

 2013年は外国人投資家が日本株を15兆円以上も買い越した結果、日経平均株価は約56%上昇した。2014年はその反動もあって、大きく売り越す局面が続出。8月の第1週、10月の第1~3週の株価急落局面でも、外国人投資家は大きく売り越している。一方、10月の第4週から買い越しに転じた結果、平均株価は急反発した。

 ちなみに、10月の急落局面では個人投資家や、年金などの資産を運用している信託銀行が買いに回っている。外国人投資家の売りを個人や信託銀行が拾った格好だ。

 いずれにしても、「外国人投資家が日本株を買うのか売るのか」が、日本の株式相場の命運を握っていることは確かである。

日本市場が圧倒的に第1位!

 ここに、興味深いレポートがある。外資系証券大手が毎月のように行っている調査で、200人を超える機関投資家の運用担当者(ファンドマネージャー)に対するアンケート調査を行い、その結果をまとめているものだ。

 実は、11月の調査では、日本株の配分状況が前月比13%アップの45%と急増している。これは、リーマンショック前の2006年初め頃の水準だという。さらに、米国、欧州、英国、日本、ドイツの5市場のうち「今後1年間に最もオーバーウエート(=買い)したい市場は」という調査でも、日本市場が圧倒的1位になっている。

 要は、外国人投資家は日本株への投資を増やしており、さらにまだまだ日本市場を魅力的な投資対象と考えているということだ。

 では、日本株が魅力的に見える要因とはいったいなんなのか。

「やはり、外国人投資家は足元の円安の加速によって、輸出企業を中心にまだまだ企業業績に改善の余地があると見ているのでしょう。直近の解散騒動では『アベノミクスの失敗』が取りざたされていますが、そもそも外国人投資家はアベノミクスの成長戦略に期待して日本株を買っているわけではありません。外国人投資家が10月の最終週から買い越しに転じたのは、日銀の追加緩和とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用見直し発表があったから。この2つの材料の効果は今後も継続するため、当面は日本株をアウトパフォームしてくると思います」(大手証券エコノミスト)

 ただ、心配なことが1つある。実は、前述の調査は11月の7日から13日にわたって行われており、日本の7-9月期のGDP成長率の速報(17日発表)前の集計データなのだ。

 外国人投資家は10月の第5週に5400億円、11月1週に7700億円、第2週に4700億円日本株を買い越してきたが、7-9月期GDPのマイナス成長を受けて、日本株への運用方針を見直すファンドマネージャーが出てくる可能性はある。

 外国人投資家の今後の動向を探る上で、チェックしておきたいポイントは2つ。1つ目は、第3週以降の外国人投資家の売買動向だ。これは、東証が毎週木曜日に前週分を発表している。

 もう1つは、10月、11月の日本の経済指標である。7-9月期のGDP成長率がマイナスとなった要因は、①個人消費が弱含んだこと、②企業の設備投資が予想より伸びなかったこと、の2点にほぼ集約される。毎月発表される経済指標の中には、①に関係するもので「家計消費支出」、②に関係するものでは「鉱工業生産」や「機械受注」などがあるので、これらの経済指標をチェックすれば、10-12月期のGDP成長率の動向をある程度推測できるはずだ。これらの経済指標で、10、11月の数字が上向いてくるようなら、日本の景気に対する外国人投資家の不信感も取り除かれると思われる。

 もし、11月第3週以降、外国人投資家の日本株買い越し額が減少、あるいは売り越しに転じたとしても、12月下旬に発表される11月の経済指標が好転すれば、追加緩和とGPIFの運用見直しの材料は活きているだけに、年初からは再び大きく買い越してくることが予想される。その場合、日経平均2万円も十分視野に入ってくるだろう。

 今年の外国人投資家の買い越し額は、11月第2週までの時点でわずか6300億円程度。それだけに、年末から来年にかけ、外国人投資家の買いには期待して良さそうだ。

新井奈央(あらいなお)
マネーライター。株式評論家・山本伸のアシスタントを務め、株や経済を勉強。その後フリーライターとして活動し、株や為替などを中心に投資全般の執筆を手掛ける。マネー専門のライターとして雑誌や書籍などの執筆で活躍中。そのかたわら、銘柄の紹介にも携わり、夕刊フジの月間株レース「株−1グランプリ」では、出場3度のうち2度、月間チャンピオンの座についている。

(Photo by Dick Thomas Johnson via flickr)

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