青酸変死:千佐子容疑者に”生保不正受給”疑惑が浮上

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筧容疑者はどうやって青酸カリを入手したのか
筧容疑者はどうやって青酸カリを入手したのか

 夫を青酸カリで毒殺した容疑で逮捕され、他の殺人事件への関与が取り沙汰されている筧千佐子容疑者(67)は、数年前から婚姻・交際関係にあった男性らの遺産を次々に相続し、その資金をFXや先物取引など投機性高い金融商品取引に投資したいたことが明らかとなった。投資は失敗し、逮捕時には預貯金はほとんど残っていなかったという。

 筧容疑者は、夫の筧勇夫さん(死亡時=75)他、過去に婚姻・交際関係にあった男性から相続した遺産は「およそ8億円」(捜査関係者)と言われている。そのほとんどを溶かしてしまったというからたいした“才能”である。では、筧千佐子容疑者は預貯金を失ってから再婚までの間、どのように生計を立てていたのだろうか。捜査関係者が衝撃に事実を明かす。

「生活保護を受給していた可能性が濃厚で、現在、裏とりを行っています。生活保護受給中に結婚相談所に登録し、“婚活”に励む。そして成婚すると夫を殺害し、遺産相続後に再び投機性高い金融商品取引を行なって一攫千金を狙う。そして失敗すると、また生活保護受給するということを繰り返し行っていた疑いが持たれています」(兵庫県警の捜査関係者)

前夫の苗字で登記した家は調査できない

 だが生活保護は、自宅や持ち家があるあるなど、一定額以上の資産を持つ者には認められないのは周知の通り。しかし、ここには抜け道はいくらでもあるという。

 生活保護行政を担当したこともある元神戸市職員は、「たとえば前夫の氏(苗字)で登記した持ち家なら、地方自治体の生活保護行政の調査力ではこれを調べるのにはおのずと限界がある。婚姻によって氏を変えるのは財産隠し目的で用いられる方法」とし、筧容疑者が何がしかの隠し財産を持っている可能性を指摘する。

 現行の生活保護受給制度では、受給中に婚姻して、生活状況や資産が改善されても、報告しなければ継続して生活保護受給が受けられるという。報告したとしても、例えば「婚姻したが別居していて、自分には資産がない」「配偶者は行方不明」だといえば、打ち切られることはないとのこと。生活保護受給の所管は各市役所といった地方自治体だが、本当にこうした資産状況を行政の権限で調査することはできないのか。

「実質的には不可能です。氏を変えたり、他人名義にして海外口座などに資産を移していれば、地方行政に与えられた調査力には自ずと限界があります」(元神戸市職員)

生活保護を受給しながら婚活する人は多い

 事実、この元神戸市職員が担当したケース(生活保護受給者)のなかには、生活保護受給中の聞き取りで、就職活動が出来ないので“婚活中”と回答した者もすくなからずいたという。結婚相談所への入会金は生活保護の一部を貯金して支払ったと回答されれば、それ以上調べようがない。「行政の限界と制度の“抜け穴”です」(同)と話す。

 生活保護受給者には、こうした“婚活”中の者、金融投資で失敗した者も多数含まれているという。これら生活保護受給者の発想にはひとつのパターンがあるようだ。

「無一文になっても、生活保護受給というライフラインがあるとの安心感です。だから筧容疑者もそうですが、多額の遺産相続をしても全額使い切るのです。計画的な財産管理ができない理由がここにあるのです」(同)

 神戸の女児殺害遺棄事件でも、生活保護受給問題が取り沙汰された。今回の事件をテコに生活保護受給制度の“抜け穴”に光が当てられるか。今後の捜査の動きに注視したい。

(取材・文/川村洋)

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