すき家が”ブラック化”加速させた「牛すき鍋定食」復活のウラ事情

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「牛すき鍋定食」復活の理由とは(Photo by ddr3rdmix via flickr)
「牛すき鍋定食」復活の理由とは(Photo by ddr3rdmix via flickr)

「ワンオペ」が2014年の流行語大賞にノミネートされるなど、ブラック企業としてのイメージが定着してしまった“すき家”。その最大の要因ともいえるのが、ワンオペが問題視されていた今年2月にメニューに追加された「牛すき鍋定食」である。仕込みと提供に時間のかかるこの商品により、アルバイトが一斉に逃亡。人員不足により、“パワーアップ工事中”として一時閉店する店舗が相次いだのだ。

 その後、牛すき鍋定食はメニューから姿を消し、深夜帯のワンオペ禁止などの改善がなされたが、人材の確保ができなかったとして、全店舗の約6割で通常の24時間営業が出来ない状態が続いている。

 そんなすき家が、11月27日にあの「牛すき鍋定食」の販売を再開した(一部の店舗で先行して試験販売され、27日より本格的に販売を再開)。ネット上では、「懲りないな」「またバイトが逃げ出すぞ」などの声が上がっているが、実際はどうなのか。東北地方の某店舗で店長を務める青木英夫さん(仮名・39)は、現場の様子をこう証言する。

「正直、またか……。というのが、本音ですね。ただ、今回は、すでに工場で加工された具材を使用したり、肉は生肉のまま盛りつけて、お客様ご自身で火を通してもらうという提供法なので、前回のように仕込みや提供に時間がかかることはありません。以前は“遅い”とのクレームが日常茶飯事でしたが、今回はそれもないですね。ただ、提供に時間はかからなくとも、お客様が肉に火を通すわけですから、食べられようになるまでには、結局、時間がかかる。そのため、なかには“すぐ食べられる状態で持ってきてよ”“セルフサービスにしただけじゃねぇかよ”という、また別のクレームを受けることは増えましたけどね」

 結局、クレームを受ける回数が増えたと証言する青木さん。しかも、同メニューの復活には、首を傾げざるを得ない部分もあるという。

「本部は、“復活を望むお客様の声にお応えして”という理由で販売開催を決定したと言っていますが、正直、復活したところで、牛すき鍋定食を注文するお客様は少ないんです。この事実は、先行して行われていた試験販売でも分かっていたはず。それなのに決定した背景には、一連の騒動で極端に落ち込んだ売上げにあるんですよ。最近のすき家は、原価率の悪いメニューを一新させて利益の大きいメニューを増やしています。そのひとつが、牛すき鍋なんです。大人気商品にはなれなくても、話題性と原価率でカバーできるとの判断から、販売の再開に踏み切ったのではないでしょうか。ただ、現場の声としては、正直、また消えて無くなるのも、時間の問題のように感じますね……」

 本部の焦りも感じられるという青木さん。果たして、“看板メニュー”復活作戦の結果はかに。

(取材・文/佐々木浩司)

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