アベノミクス不況で「粗大ゴミ収集バイト」する女子高生が急増か

デイリーニュースオンライン

女子高生はたくましい!?(写真はイメージです)
女子高生はたくましい!?(写真はイメージです)

 今、女子高生たちの間で意外な”アルバイト”が静かに人気を集めているという。なんと、粗大ゴミを収集して、ネットオークションで売ったり、空き缶や雑誌を拾って業者に売っているというのだ。現役JKがなぜ廃品回収業に走るのか。筆者はその背景と仕事内容を取材すべく、現地へと向かった。

 西日本最大のコリアタウンとして知られる大阪・鶴橋に程近い近鉄・上本町駅の構内。待ち合わせ場所に現れたのは現役女子高生の奈美さん(18歳・仮名)だ。どこにでもいる、ごく普通の大人しい感じがする女子高生だ。

 大阪市内でも有数の公立進学校に通う奈美さんの家族は、50代前半の父親と40代後半の母親、私立高校に通う妹の4人家族。父親は地方公務員、母親はピアノ講師をしているという。比較的恵まれた家庭に育つ奈美がなぜ廃品の回収・転売をしているのか。

「まず毎月の小遣いが足りない。わたしの小遣いは毎月、母親から渡される5000円だけ。この中から好きな本を買ったり、友達とファストフード店でお茶したり、映画を観たりすれば、もう財布の中は空っぽ」(奈美さん)

 だが、足りない小遣いを稼ごうにもアルバイトもままならない。奈美さんの通う高校では校則でアルバイトは原則禁止だからだ。もっとも奈美が通う高校は進学校だから、長時間拘束されるアルバイトは勉学に支障を来たす。だからJK定番のアルバイトであるファストフード店あコンビニでのアルバイトもとても行なえる状況ではないのだ。

アルバイトもできず、容姿もよくないから

 短時間でてっとり早くカネになる仕事といえば、やはり“ウリ”と呼ばれる売春や援助交際といった体を、あるいは使用済み下着といった“性”を売ることが思いつく。

 しかし、こうしたことでカネを稼ぐのはやはり抵抗がある。こういった仕事は、いつ何時、ヤクザとか怖い人が出てくるやわからない。相手の男から暴行を受けたり、変態に拉致されるかもしれない。それに性を売れるのは、そもそもそれなりの容姿に恵まれた子しかできない。

 バイトもできない、売るつもりもないが性を売ることもできない。そんな“ないない尽くし”の女子高生ができること小遣い稼ぎこそ、廃品回収なのだという。粗大ゴミ収集日の前日の夜、カネ目のものを見つけだし、これを持ち帰ってネットオークションで売るのだという。使えそうな電化製品や本をネットで売り、今では月に3万円程度コンスタントに稼ぎ出しているという。

「最初、リサイクルショップに持ち込みました。でもほとんどお金にならなくて。しかしネットオークションなら白のシーツを背景に撮影するだけでそこそこの値段で落札が期待できます。この前も、アンティークっぽく見える電気スタンドが5万円で落札されました。元手はタダなので大儲けです」(同)

 奈美さんは、この先、大学に入ってもこの粗大ゴミ収集を続けていきたいという。

空き缶と雑誌はホームレスの縄張り

 他方、アルバイトをしたくてもできないJKもいる。同じく大阪市内に住む美咲さん(仮名・17歳)は、生活保護受給家庭のためアルバイト収入が行政にバレると、それは“収入”とみなされ、生活保護受給が打ち切られる可能性がある。

 てっとり早くカネを稼ぐため性を売ろうにもそれだけの容姿がない。最初は空き缶拾いや雑誌拾いを行なったが、一日歩き回って集めても1000円にもならなかった。

 空き缶拾いをしているとき、年配のホームレス男性から、「こういうことは若い女の子がすることではない」と諭された。行き着いた先は粗大ゴミを収集、ネットで売ることだった。

 今では毎週、粗大ゴミ収集日前日に粗大ゴミを集め、集めたそれをネットで売っている。月の収入はだいたい4万円台をキープ。ある月など7万円稼げたことも。高校生にとって7万円は大金だ。

「空き缶や雑誌拾いはホームレスの人の縄張り。粗大ゴミは、誰の縄張りというのはないんです。時々、うちくらいの年齢の女の子も自転車で粗大ゴミ集めてる。頭のいい子は何がお金になるかわかるみたい。うちはアホやからとりあえず目についたもの集めてそれを売ってるだけ……」(美咲さん)

 ただ注意しなければいけないのは、彼女たちが行っている行為は「資源ごみの持ち去り」で自治体によっては条例違反になるという点だ。またゴミ集積所に出された時点で「所有権が自治体に移る」と定めている自治体では、窃盗罪に問われる可能性もある。大阪で流行っているというJKの廃品転売だが、相当のリスクがあることを忘れてはいけない。

 アベノミクスが功を奏し、経済が活況期に入ったと言われているが、JKが廃品回収で小遣い稼ぎをするをしているのが現実なのだ。これを経済社会の光とみるか、それとも陰とみるか。自民・公明が推し進めてきた経済政策も来る衆院選では問われることになる。

(取材・文/秋山謙一郎)

「アベノミクス不況で「粗大ゴミ収集バイト」する女子高生が急増か」のページです。デイリーニュースオンラインは、貧困ビジネス女子高生大阪社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧