金正日コスプレにプロパガンダ歌謡で熱狂!北朝鮮イベント「先軍祭」開催

デイリーニュースオンライン

リム・チュヌン同務(右)と「うねこ同志」
リム・チュヌン同務(右)と「うねこ同志」

 12月2日、東京新大久保のネイキッド・ロフトで開催されたイベントで北朝鮮マニア達の熱い歌声が響き渡った。そのイベントとは「北朝鮮歌謡&先軍祭りだヨ☆全員集合(通称:先軍祭り)」(実はイベントを主催しているのは私です、ハイ)。

 北朝鮮の歌や文化といえば、ご存じの通り徹頭徹尾、金日成から金正恩を讃えるプロパガンダである。そのプロパガンダの世界にどっぷり浸かろうというのがこのイベントの趣旨だ。かつて新宿ロフトプラスワンで不定期開催されていた名物イベント「北朝鮮祭」の後継イベントとして新大久保ネイキッドロフトに場を移し開催され、今回で二回目となる。

地方から泊まりがけで参加したマニアも

 金正日時代からフレッシュな金正恩時代へ代替わりしたのと同じく、面子も一新されている。壇上には、司会進行として私と二人の絶世の美女がスピーカーとして「北朝鮮ラブトーク」を広げるという、この手の地下イベント(?)としては異色の華やかなイベントである。

 ただし、観客席にはアンダーグラウンド臭がプンプン漂う。イベントのため、地方から泊まりがけで「同志」(※注釈)や、北朝鮮の人民服や軍服、胸に金日成バッジなどを付けて参加する同志達。なかには、どこで入手したのか、それともオーダーメイドなのか、金正日とまったく同じカーキの上下を着るマニアなど、「いつから新大久保は、韓流の町から“朝流(北朝鮮流)の町”になったんだ?!」と錯覚させられる。

 そんな北朝鮮マニア達のとりわけ熱い視線が集まるのが、二人の絶世の美女である世界初の先軍アイドル「リム・チュヌン同務(トンム)」と先軍サイクリストを自称する「うねこ同志」だ。

「うねこ同志」の詳細に関しては非公開だが、リム・チュヌン同務は、純粋な日本人として「大東亜クラスタ」でもあり軍国主義文化を純粋に追究する芸術家の卵だ。そんな彼女が、何故か過去の遺物である軍国主義文化がリアルタイムに息づいている北朝鮮に目が向き、ついに先軍アイドルを自称するに至ったというユニークな芸大生でもある。

 本名を朝鮮語読みの「リム・チュヌン」に変えてあえて「韓国なまり」ではない北朝鮮の言葉を学び、「甘ったるいソウルの言葉を聞いているとイラッとくるわ。朝鮮中央通信のアナウンサーのような戦闘的な朝鮮語がしっくりくる」と言って憚らない。

北朝鮮をサブカルとして楽しむ女子も増加?

 さて、自他共に認める、「反北分子(北朝鮮体制に批判的な連中)」である私が、何故北朝鮮を讃えるようなイベントを開催しているのかについてよく聞かれるが、こう答えるようにしている。

「北朝鮮体制には批判的だが、その文化芸術を創り出す人民はリスペクトしている。そして、政治・イデオロギーとは違った視点でその国の見つめれば、また違ったイメージが浮かび上がってくるだろう」

 まぁ、カタい理屈は抜きにして、たまにはプロパガンダ満載の北朝鮮の世界にどっぷり浸かるのも悪くはない。そして、かつてはミリタリーオタクや共産趣味者(共産主義マニア)が中心だった北朝鮮マニアの世界(チョソン・クラスタと言う)を、リム・チュヌン同務やうねこ同志をはじめ、ポップにカジュアルに楽しむ女子も増えつつある。

 第3回も、2015来春には「決死!開催!」する予定なので、こうご期待を!その前に、「南北音楽対決!K-POPvsNK-POP」というイベントもネイキッドロフトで開催(前回のイベントに関しては【Rooftop:新大久保の奇跡!?“K-POP vs NK-POP”】を参照)するので、こちらもよろしく!

【※注】北朝鮮では●●君の代わりに●●同志(トンジ)と言う。同志を若干柔らかくした言い方が同務(トンム)である。元々、トンムは「友達」「友」という意味であり、韓国にもその言葉自体は存在するが、北朝鮮のイメージが強いため日常的に使用されていない。

著者プロフィール

高 英起

デイリーNK東京支局長

高 英起

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNK」の東京支局長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』(新潮社)など。@dailynkjapanでも日々、情報を発信中

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