稲本は戦力外、山岸は今季大活躍…中年となったサッカー「黄金世代」への期待

デイリーニュースオンライン

Photo by chihirot022 via flickr
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 12月3日に元日本代表DFの中田浩二(35)、4日には同FW柳沢敦(37)の引退が発表された。また同じく4日には、川崎が同MF稲本潤一(35)との契約を今シーズンで満了し、来シーズンの契約を結ばないと発表した。

 サッカーには「黄金世代」と呼ばれる世代があり、日本では1999年のFIFAワールドユース選手権ナイジェリア大会で準優勝したメンバーをこう呼ぶことが多い。準優勝は、15年が経過した今でも、すべての年代を通じての最高成績である。また、現在ではU-20 W杯と呼ばれるこの大会に、日本は4大会連続で出場すらできていない。宇佐見を擁した「プラチナ世代」でさえアジア予選敗退だったことを考えると、この黄金世代がどれだけ突出していたかがわかる。

 中田浩二と稲本は、ともにこのときの準優勝メンバーであり、黄金世代の別名でもある「79年組」とも呼ばれる。柳沢は77年生まれだが、その後黄金世代とともに2000年のシドニー五輪、2002年の日韓W杯、2006年のドイツW杯に出場した。

 サッカーファンの間に時折のぼる、しかし永遠に答えは出ないであろう話題がある。

「カズかヒデか――」

 47歳になってもなお現役にこだわり続けるカズと、2006年のドイツW杯のブラジル戦後、代表の中心選手であったにも関わらず突然引退を発表した中田英寿。どちらが良くて、どちらが悪いという話ではない。美学も人それぞれだ。

 セカンドキャリアを考える上でも、どのタイミングで辞めるかというのはとても大事である。年齢はもちろん、どこのチームに所属したまま引退をするのか、ということも。

 黄金世代ではないが、先週サッカー界で話題をさらった78年生まれの選手がいる。今年の6月に浦和から山形に期限付き移籍したGKの山岸範宏(36)である。プロデビュー以来、足掛け13年に渡り浦和で激しいポジション争いを繰り広げてきた。Jリーグ通算137試合、カップ戦では58試合に出場。日本代表に選ばれたこともある。

 GKというポジションはフィールドプレーヤーに比べて息が長いとはいえ、36歳という年齢である。まだまだできるか、このまま終わるか。現代表GKである西川周作(28)の浦和加入後、出場機会がグッと減った山岸は、活躍の機会を求めて慣れ親しんだ浦和のユニフォームを脱いだ。

 その結果、サッカー界をにぎわすプレーオフでの大活躍である。とくに、準決勝の磐田戦で見せたアディショナルタイムのヘディングシュートは、この後何十年も語り継がれるであろう劇的なゴールだった。続く決勝の千葉戦でもMVP級の活躍を見せ、J1昇格の立役者となった山岸。山形は現在、彼を完全移籍での獲得に動いている。

 相次いで発表される、一時代を築いた選手たちの引退にさみしさを感じるのは筆者だけではないだろう。川崎との契約を満了した稲本は、まだまだ現役でのプレーを望んでいる。もう一度、黄金が輝く姿を見たいと思うのはわがままだろうか。

(取材・文/尾崎稚)

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