ソニー創業家の失敗作を中国系資本が購入…止まらぬ“日本買い”

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国内最大級の廃墟と化した旧新井リゾート
国内最大級の廃墟と化した旧新井リゾート

「土日の大雪で現地調査ができなくなり、年内の公売(官公庁が行なう競売)が難しくなりましたが、その方針は変わりません」

 新潟県妙高市の公売担当者は、12月8日、1メートル50センチにも達したという豪雪を嘆きながら、こう明言した。妙高市が手続きを進めているのは、一時は「春まで滑降可能なスキー場」として人気を集めた旧新井リゾートである。

 妙高市窪松原の約200万平方メートルの敷地に、ホテル施設などが点在、ピーク時には20万人を超えるスキー&リゾート客を集めて賑わった。

家賃滞納まで落ちぶれた創業家の長男

 海外の一流保養地を目指した豪華リゾートを建設したのは、ソニー創業者・盛田昭夫氏の長男・英夫氏である。500億円もの資金を投入したものの、過剰投資で開業時から経営は思わしくなく、スキー人気の低迷もあって2006年から事業を停止した。

 ここが英夫氏の“ケチ”のつきはじめだった。国内の失敗を取り戻すかのように、海外リゾートや自動車レースのF1に次々に資金投下するものの、いずれも失敗し、資産を失っていった。

 負債に追われ、カード代金やマンション家賃の滞納で、相次いで裁判を起こされている英夫氏の“惨状”はかつて『フライデー』(2014年8月15日号)でも報じられた。

 旧新井リゾートの当初予定の最低公売価格は9億1640万円。価格は、現地調査を踏まえて再調整されるが、買収に名乗りを上げているのが建設とリゾート運営のA.Cホールディングス(ジャスダック)である。

 同社は11月20日、新株予約権を利用した増資を発表。資金使途を「スキー場及びその併設のホテルの購入」と発表した。取得資金は約13億円。施設名は明かしていないものの、周辺取材の結果、旧新井リゾートであるのは間違いない。

 A.Cホールディングスは、2013年末の段階で大株主が入れ替わり、中国系資本がオーナーとなった。まだ過半数には達していないが、増資が完了すると50%を超える。

 旧新井リゾート購入目的に 「中国・アジア富裕層のツアー客を集める」とある。盛田家だけでなく、ソニーブランドにも陰りが見える今、ソニー創業家の後始末を、中国系資本が引き受けた ――ここに日中の勢いの差を感じてしまうのは、筆者だけではあるまい。

伊藤博敏
ジャーナリスト。1955年福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、1984年よりフリーに。経済事件などの圧倒的な取材力では定評がある。近著に『黒幕 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」』(小学館)がある

(写真参照/ブログ『Lattice in the Lettuce』)

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