小渕優子は大勝、松島は楽勝で渡辺は落選…“特捜3案件”捜査の行方

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大勝も、余談は許さず(写真は公式HPより)
大勝も、余談は許さず(写真は公式HPより)

 自公勝利で終えた第47回衆院選――。

「特捜3案件」の候補者たちの明暗は分かれた。

 2014年後半以降、相次いで発覚した政治資金規正法及び公職選挙法に違反しているとして東京地検に告発され、特捜部が受理して捜査着手していたのは、渡辺喜美、松島みどり、小渕優子の3候補者である。

 このうち、渡辺みんなの党前代表が落選、苦戦が予想されていた松島前法相が2万3000票以上の差をつけて楽勝、小渕前経済産業相は第2位を5倍以上、引き離す大勝だった。

捜査的には“大勝・小渕が一番危ない”

 この結果は、捜査の行方とは関係ない。

 実は、大勝の小渕氏が最も危なく、小渕優子後援会などの実質的責任者である折田謙一郎前群馬県中之条町長の立件は、確実だと見られている。

 理由は、小渕恵三元首相の時からの秘書で、小渕氏を「姫」と呼ぶ折田氏が、疑惑発覚直後、「責任は私にある」と明言、罪を認めたこと。そして、政治資金収支報告書は疑惑まみれで、東京・明治座の「観劇会」だけで不明朗収支が1億円に達するなど悪質なこと。

 選挙期間中、「事務処理」を名目にした証拠隠滅がなく、今後、折田氏が否認に転じるようなことがなければ、逮捕するまでには至らず、在宅起訴されよう。

 法相という立場にありながら、2012~2014年の3年間で約2万2000本、約175万円相当の「うちわ」を配布した松島氏は、公選法違反で民主党議員に刑事告発された。

「受理して捜査」の流れになったのは、法務・検察が「法相だから手加減するのか」という批判を避けたため。ただ、悪質さは見当たらず、不起訴の可能性が強い。

渡辺喜美氏への捜査は本格化か

 微妙なのは、化粧品通販大手・DHCから8億円のカネを借り入れ、各種報告書に記載のない渡辺氏の政治資金疑惑である。

 父・渡辺美智雄元副総理の時代から選挙では圧倒的な力を発揮。今回も、当初は、

「苦戦であるが、落選まではいかない」

 という評価だったのに、自民に鞍替えする支援組織が続出、1万票以上の差をつけられて敗れた。

 こうなると、特捜部は政治への影響を考慮しなくて済むのでやりやすい。既に、渡辺氏の地元事務所などを家宅捜索しており、立件を視野に入れた捜査が本格化する。

 渡辺氏サイドは、「個人の借り入れなので問題はない」と主張、当初は、そのカベに阻まれて不起訴か、という見方が強かったが、

「政治家が、8億円を個人で借りたで済むのか」

 という国民的批判があり、それが落選に結びついた可能性は否定できず、検察の捜査にも力が入りそうだ。

伊藤博敏
ジャーナリスト。1955年福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、1984年よりフリーに。経済事件などの圧倒的な取材力では定評がある。最新刊『黒幕: 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」』(小学館)が好評発売中。ほか、『「欲望資本主義」に憑かれた男たち 「モラルなき利益至上主義」に蝕まれる日本』(講談社)、『許永中「追跡15年」全データ』(小学館)、『鳩山一族 誰も書かなかったその内幕』(彩図社)など著書多数
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