正月の「しめ飾り」にはあの国の水草が使用されていた!

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中国産の水草で作られるしめ飾りが増えている!?
中国産の水草で作られるしめ飾りが増えている!?

 師走もクリスマスを過ぎ、そろそろお正月の準備に入り始めた方も多いのではないでしょうか。年末の大掃除に、年賀状の手配、鏡餅やお節、お年玉袋の用意などなど。ただ、そんな毎年過ごすお正月も実は、その意味を知らないという方は非常に多い。私が毎年「お正月」講座をやっているのも、まさにこのためでもある。

 例えば、「門松」「しめ飾り」「鏡餅」といった、いわゆる「正月飾り」といったもの。今、この3つをすべてやっている方というのはさほど多くはないが、「一つでも」と聞かれれば、やはり半数以上の方はやっている。まぁ、気軽さという点でも、「鏡餅」が一番多いのですが、そこで、「では何故、それをやっているのですか?」と聞くと、ここで誰もが口を閉ざしてしまう。そう、わからないのだ。

 本来、人は理解の先に行動があるはずなのだが、時として、こういう意味もわからずにやっているという方は非常に多い。これもよく言えば、「習慣化されている」「根付いている」と言えば聞こえはいいのかもしれませんが、この場合、注意しなければならないのは、結局は意味を知らないので、些細な変化に気づかないということ。実はここが非常厄介なのだ。

正月は「農業・穀物の神」をお迎えする儀式

 そもそも日本のお正月は、「年神さま」と呼ばれる「農業・穀物の神さま」をお迎えすることをその目的としています。年末に私たちが掃除をするのも、ここでいう神さまが不浄を忌み嫌うからであって、単なるリフレッシュではありません。そして、そのお迎えをする準備が整うと、初日の出と共に到来する年神さまを自宅に招き入れるために、その御霊を依りつかせるものとして依り代を用意するのです。それが、玄関先に飾った門松です。これも神さまは尖った形状のものに依りつくという考えがあってこそのものなので、中には「門松の絵」で済ませてしまう方もおりますが、これも厳密には間違いです。

 そして、しめ飾りを飾ることで禍々しいものが入って来ない状態にして、年神さまを家内に迎え入れ、神前に備えられた鏡餅にこの年神さまの御霊を依りつかせます。それをお雑煮などで食べることで、年神さまの御霊との合一化をはかり、一年の健康を願うというのが、そもそもの「日本のお正月」なんです。しかし、こういった一連の意味を知らないために、今、一つ大きな変化が起こっていることになかなか気づかなくなるのです。

 それが、「しめ飾り問題」です。つまり、「しめ飾り」はこの年神さまを迎えるためにあると考えれば、その作りは当然「稲わら」に求められます。これは年神さまを農業、穀物の神さまと分かっていれば、何となく理解はできるでしょう。しかし、現在、市販のスーパーで販売されている「しめ飾り」は違います。何で出来ているのでしょうか?実は、これが問題なのです。

中国産の水草で作られた日本のしめ飾り

 見た目キレイに作られている「しめ飾り」の成分は、現在「中国産の水草」に取って変わられています。つまり、雑草なのです。要は、年神さまを迎えるために「雑草」で迎えるというのは、文化的な意味合いからすればまったくの意味がありません。

ただ、形を真似ているだけ。だから、私のお正月講座では稲わらを用いて、実際にしめ飾り作りを体験してもらっているのです。ある意味、文化の形骸化が進行しているということ。見た目はゴージャスでも中身がないとは、まさに虚飾にも似た感覚を覚えますが、高度経済成長期を迎え、物質文明に慣れ親しんだ日本人の実像がここに一つ表象されていると言えるのかもしれません。

 なかには、稲わらで作られているものもあるかもしれませんが、何より意味を知ると愛着が湧いてきます。新年を心の充実と共に迎えるためにも、少しこのあたりにも注目してみるのもいいのかもしれません。

著者プロフィール

toujyou

一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター

東條英利

日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。

公式サイト/東條英利 公式サイト

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