北朝鮮サイバー攻撃、次の標的は韓国の原発か

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公開中止が決定した映画『THE INTERVIEW』
公開中止が決定した映画『THE INTERVIEW』

 金正恩氏の暗殺を描いたコメディー映画『THE INTERVIEW』に絡み、ソニーピクチャーズが大規模なサイバー攻撃を受けた事件について、FBI(米連邦捜査局)は北朝鮮による犯行だと断定した。

 ソニーピクチャーズに対する攻撃がはじめて明るみに出たのは11月24日。その後、未公開作品や財務関連の資料、無関係の俳優シルベスター・スタローンなどを含む著名人の個人情報や機密情報が流出し、同社のコンピューターシステムが使用不能に追い込まれた。今回のサイバー攻撃は、映画を公開しようとする同社に対する、北朝鮮政府の報復だったとかねてから予想されていた。そして、事件から約1カ月が経過した12月19日に、FBIが正式な調査結果を発表された形だ。

 今回の調査結果を受けて、どの国よりも慌てた反応をみせているのが韓国だ。というのも、2013年3月、韓国は大手TV局であるKBS、MBCに加え、新韓銀行をはじめとする大手銀行3社、農協のシステムなどが大規模なサイバー攻撃を受け社会的混乱に見舞われたが、今回のソニーピクチャーズの襲撃に使われたマルウェアに、韓国で起きた事件と同様のインターネットアドレスコードが含まれていたという調査結果が報じられたからだ。しかも、今年に入って韓国に対する北朝鮮のサイバー攻撃が急増。特に韓国軍に対する攻撃頻度が日増しに高まっているため、もはや放置できないとしてメディアが一斉に騒ぎたてている。

「北朝鮮のサイバー部隊の戦力が、ここ数年で急上昇している」

 これは、韓国メディアの一致した見解だ。2012年8月には金正恩氏の肝入りで「戦略サイバー司令部」という専門組織が創設され、現在ではサイバー攻撃要員が約2倍、3000人から6000人にまで増員されたという。これは韓国の専門部隊要員数の約10倍、米のそれすら上回っているとの推測もある。

韓国の原発運営会社がサイバー攻撃に遭う!

「北朝鮮はエリート教育が徹底していて、攻撃要員は10代から専門的な技術を磨いている。いわゆる天才級のハッカーは1000人以上いると言われます。表沙汰にはなっていませんが、米・ペンタゴンへの攻撃にも成功しているとの噂もある」(韓国大手新聞社記者)

 北朝鮮がサイバー部隊を強化する理由は核兵器やミサイルに比べ費用対効果が大きいからだ。これまで北朝鮮は、韓国や欧米諸国に対して軍事兵器をちらつかせ威圧的な外交を繰り返してきた。ただ、その経済的負担は大きく、政権維持におけるもろ刃の剣でもあった。一方、サイバー攻撃は相対的に大規模な軍事予算を必要としない。しかも、自らの主張を押し通す手段としては強力だ。実際、ソニーピクチャーズは『THE INTERVIEW』の劇場公開を中止する方向で舵を切った。

 また、攻撃の事実が特定しにくいというのも、サイバー攻撃のメリットだ。ソニーピクチャーズへの攻撃に北朝鮮が関与していたという報告があった直後の20日には、韓国水力・原子力社の内部文書が何者かによって流出した。このハッカーは現在、原子力発電所に対するサイバーテロも予告しており、韓国政府が大慌てで捜査に乗り出している。北朝鮮の関与も疑われているものの決定的な証拠は何ひとつ見つかっていないようだ。

 米韓両国を標的として急増する北朝鮮のサイバー攻撃。同盟国の一国・日本からしても、すでに彼岸の火事ではなさそうである。

(取材・文/中川武司)

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