亡命漫画家・変態唐辛子が警鐘「日本は中国スパイに無防備すぎる」

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右が変態唐辛子さん、左が著者の孫向文
右が変態唐辛子さん、左が著者の孫向文

 こんにちは。中国人漫画家の孫向文です。

 前回は中国から亡命している「変態唐辛子」こと、王立銘先生(41)の対談について書いきました。

中国に帰れない…日本に亡命中の中国人漫画家「変態唐辛子」が語る言論統制(前編)

 今回も引き続き、王先生とのお話を紹介します。

 僕も王先生も、反中共漫画を描いていることは共通していますが、僕がいつも変装姿で本名も出さない覆面作家であるのに対し、王先生は顔も名前も出して活動しています。当然、僕よりも危険な状況で描いているわけで、これまで幾度も公安局の注意を受けてきました。

「中共に対しては一切妥協してはいけない! 以前、公安局に連れて行かれた際は、微博ですぐにそのことを書き、公安局の電話番号も記載して、拡散したよ。これで何かあったらファンがすぐに電話をかけてくれるだろう。その作戦は成功だった。このときばかりは、奴らも低姿勢で、もうネットで漫画を発表しないでくれとお願いしてくるだけだったよ。私に微博で書かれることを恐れていたんだ。もしも、ここで何もしないで従順にしていたら何をされていたか分からなかっただろう。奴らの行為はドブネズミみたいなことで、世間に知られるとまずいことばかりなんだよ」

 ここまで危険を冒してまで反中共漫画を描き続けている王先生。その行動のキッカケとなったのは何なのでしょうか?

「私はインターネットで商品を売る仕事をしているんだけどね、ここ5年ぐらいの間にグーグルやらフェイスブックやら、ユーチューブやらがどんどん遮断されていって、規制が強まっていっただろ? ネットはどんどん窮屈になっていった。なんでこんなに規制が強まったのか。VPNの海外回線を契約し、香港メディアの報道なんかを見ているうちにね、政府の悪事が分かってきたんだよ」

 天安門事件や、ノーベル平和賞の劉暁波、チベット問題……政府にとって都合の悪い問題は、国民の目の届かないように報道規制が敷かれています。それを知らずして(あるいは、見ないフリをして)生きていくことも可能ですが、王先生は、そういう矛盾と徹底的に戦うことを決意したのです。

中国共産党の本当の怖さを日本の読者に知らせたい

 日本人は中国共産党の怖さを分かっていないと、王先生は言います。

「日本の巨匠漫画家、藤子不二雄A先生の『劇画毛沢東伝』を読んで唖然としたよ。なんで、多くの中国国民を殺したあの悪魔のことを偉人みたいに描くのか……」

 僕は『劇画毛沢東伝』を読んだことがないんですが、この本が出版されたのは1971年。1972年の日中国交正常化の直前だったので、日中友好の雰囲気も高まっていたでしょうし、中国を賛美する本がウケていた時代だったのかもしれません。

 ただ、あれから40年以上、嫌中の空気が蔓延する現代の日本においても、王先生の言うように、中共の真の恐ろしさは日本人に伝わっていないのではないかとも思えます。例えば、中国の「H技術」というメーカーの商品にはスパイウェアが仕組まれているとして、アメリカではその製品の売買を禁じる法案が生まれています。

 なのに、今回、王先生との対談で渋谷に行った際には、Hの商品(スマホ)のポスターがデカデカと構内の壁に貼られていました。その無防備さに唖然としたものでした。

 中国共産党は国家ぐるみで情報を盗むスパイ集団です。中国の主だったネット企業はその管理下にあります。奴らは目的のためであれば、どんな手でも使ってくるのです。僕も王先生もそういうことを、日本の皆さんに伝えていきたいと考えています。

「アメリカに亡命している私の友人の家には、頻繁に共産党がやってきて、脅迫まがいのことをされているよ。家族は関係ないなんて言い訳は、奴らに通用しないからね。奴らは徹底的に弱いところを攻めてくるんだ。また、別の友人は逮捕された際、携帯電話も押収され、家族にも伝えられなかった。だから、彼の両親はどこへ消えたのか不安でたまらなくなった。市内のすべての公安局に問い合わせても『知らない』の一点張り……」

 政府の悪行を書いていくと、とてもじゃないですが、この連載の2回程度では書ききれません。興味のある方は、王先生の今後出版する漫画や、僕の漫画『中国のヤバい正体』(大洋図書)をご覧いただければと思います(笑)。

 中国共産党はあまりにも巨大な敵です。ですが、なにも行動を起こさなければ、奴らは図に乗るばかりです。どうやってアイツをギャフンと言わせてやるか、そして中国で民主化を実現させるか、僕らは計画を練っていきたいと考えています。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/杉沢樹)

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