2015年大爆発必至…頑張れ我らが百田尚樹せんせ!|やまもといちろうの大予測

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百田尚樹氏の著書『殉愛』(幻冬舎)
百田尚樹氏の著書『殉愛』(幻冬舎)

 やまもといちろうです。やはり2014年の年越しで遣り残したネタと言えば、幻冬舎『殉愛』事件だったでありましょう。概ね想像の斜め上のことしかしない百田せんせが、テレビやネットで大暴れしているのを観ますと、年末の慌しさにささくれ立つ心が晴れやかになりました。いいですね、馬鹿馬鹿しくて。

 実は別の媒体で百田尚樹せんせって実にアレだなあという記事を寄稿していたのですが、どうやらかなり本腰で出版業界全体が頭を抱える事態に陥っているようなのです。いや、週刊誌を始め出版社も商売ですから、今や売れる作家の最右翼というか、輝ける頂点である百田せんせというのは、「機嫌を損ねられると困る」爆弾岩状態なのであります。

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 そういう百田バブルの恩恵に蒙れない出版社は、もちろん反百田派として百田叩きに余念がなく、一方でうっかり機嫌を損ねて原稿でも引き上げられてはたまらない出版社は、親百田派として文字通りの作家タブーの世界を構築して万全の防御体勢を敷いています。や、それが面白くて。普段はジャーナリズムだタブーに挑戦だと言っていたのに、百田せんせの話になると途端に静かになる大人の事情を考えると、いろんな思いが去来するのであります。

 そこにやってきたのは林真理子女史。お前かよ。でもステージに上がって百田せんせと遜色なく戦えるのは、確かに偉大なるマンネリを王道芸にまで進化させた林女史でないと無理ですよね。分かります。

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 もうね、界隈大喜びですよ、馬鹿馬鹿しい戦いに燃料が投下されて。やっぱりですね、こういう糞みたいな喧嘩に向こう正面から座布団を投げ込める人って大事だと思うんですよね。林真理子、見直した。というか、惚れ直した。最近の本つまらないけど、私が許す。

 そこへ、元文春編集長で、現『WiLL』編集長の花田紀凱せんせが援護射撃。これがまたすげぇ。曰く、「プラス、マイナスを総合的に判断した上で、書かないのは当然ではないか」。

林真理子さんのコラムに異議あり。

 いやー、花田さん大人だわー。業界人だわー。朝日新聞の捏造問題と並べて「ジャーナリズムを名乗る資格なし」と喝破した林女史に対して、真っ向から「配慮すんだろ。それはそれ、これはこれ」と言い切る姿勢が素晴らしい。

 いいですね、この戦場の真ん中に聳え立つ光る姿があり、その周囲を紅組と白組に分かれて大の大人が口角に唾溜めて押し引きする。それも、百田の書いた作品は売れるという大前提ですべてが回るという天動説を信じて疑わない出版界隈の、世界観がまた素晴らしい。そりゃ売れると思っている玉を持っているところは、傷つけてなるものかと守り通そうとする。そこを問題満載の事実関係を右手に、書き手としてのプライドと嫉妬を左手にさまざまな人物が傷つけようと迫り来る、しかし張本人は意気軒昂にTwitterで暴言を吐きまくり、百田尚樹ここにありと燦然たる自己主張を繰り返すという、その心情風景そのものが修羅であり、戦さ場の薫り高くも香ばしい年明けを感じさせるのであります。

 単純に事実関係だけ追っていくのであれば、百田せんせが完敗なのは不動でありましょう。まあ、言っちゃ何ですが、さくらさんですか、一方の話だけ聞かされて事実関係の曖昧な内容をノンフィクションだと言って売ってしまったからには、相応の返り血は浴びるのもやむなしであります。

 でもそこにはテレビ局も自在に動かす幻冬舎があり、次の作品の発売を待つ他出版社があり、ネットでは百田せんせの執筆なさった小説が描写も含めてパクリだと動かぬ証拠を突きつけるまとめサイトがあり、もはやここまでくるとギョーカイからネット住民まで出あえ出あえの大混乱に陥ること必至です。これは劇場型馬鹿案件ですよ。ヲッチせずにいられません。

 やはり、ここまで来たからには、2015年の幕開けを飾る大規模社会問題として、百田せんせには屹立を余儀なくされていただきたく、ぜひ最後は華々しくも切ない大爆発を遂げて、百田せんせらしい締めくくり方を賜りたいと願う次第であります。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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