勝間和代プロ誕生に湧いた麻雀業界の“泣きどころ”

デイリーニュースオンライン

麻雀ファンの間では勝間氏の麻雀への熱の入れようが話題になっていた
麻雀ファンの間では勝間氏の麻雀への熱の入れようが話題になっていた

 経済評論家・勝間和代さんの麻雀団体「最高位戦」のプロ試験合格が話題を集めている。勝間さんは1月15日付けの公式ブログで「無事、プロ試験、合格しました。これで、来期から最高位戦D1所属のプロとしてスタートします」と報告した。

報告~麻雀、最高位戦のプロ試験に合格しました。春からD1リーグに所属します。(麻雀の鉄人挑戦の予定を追記しました)|勝間和代公式ブログ: 私的なことがらを記録しよう!!

 同ブログで「こんなに楽しいこと、40半ばになるまで知らなくてもったいない」と麻雀の魅力を書いている勝間さんは、麻雀を本格的に始めてわずか1年。にもかかわらずオンライン麻雀で平均成績2.18位、振り込み率7%と、ともに平均を大きく上回る優秀な数値を残したそうだ。

「たった1年でプロになれるのか」と驚くかもしれないが、将棋や囲碁とくらべ、運の要素が大きい麻雀は「プロが素人に負ける」こともあり、「プロとアマの壁」は将棋や囲碁ほど厚くはない。短いスパンならプロに勝てるのも事実だ。

 とはいえ、プロ試験そのものは難関である。ペーパーや実技の試験も難しく、勝間さんが合格した最高位戦のプロ試験合格率は10%ほど。効果的な捨て牌選択はもちろん、複雑な点数計算や卓を囲む際のマナーの会得、さらには一般常識も必要とされる。

 麻雀という競技は「捨て牌選択」や「勝負どころの見極め」にセンスと慣れが要求される奥の深いゲームだ。集中力が要求なのは将棋と同じで、高齢者の認知症防止に効果があることも知られている。

「趣味はもちろん、確率論や経営論の勉強のためのケーススタディとして」麻雀と接していく、と勝間さんも書いている通り、確率論を理解せねば強くはなれない競技でもある。

 ちなみに現在の麻雀団体は“ミスター麻雀”小島武夫氏や若手の第一人者・佐々木寿人氏、二階堂姉妹らが所属する「日本プロ麻雀連盟」、女流プロの多い「日本プロ麻雀協会」、桜井章一氏が会長を務める「雀鬼会」など、有名なもので7つほどある。勝間さんが合格した「最高位戦」はMONDO-TVでおなじみの新津潔氏が代表を務めており、各団体ごとにプロ試験が存在する。

麻雀だけで食っていけるのはトップの一握り

 オンライン麻雀ゲームが人気を博し、フリー雀荘でもテン5(千点50円)など低料金の店、あるいはノーレートの店もある通り、初心者にとって麻雀の敷居は低くなっている。高齢者ホームでの麻雀は定番のサークルでもあり、プロが競い合うモンド杯(MONDO-TV)などのテレビマッチでプロならではの打ち方や駆け引きを楽しむファンも多い。プロの捨て牌と自分の予想が一致するかどうか、麻雀ファンは誰しも確かめてみたくなる。

 そんな麻雀プロの収入源といえば、各大会の賞金(最大で200万円前後)、メディア出演、各麻雀イベントの出演料、麻雀関連の雑誌への寄稿、麻雀単行本の印税、オンライン麻雀関連業務、麻雀教室での指導料、雀荘メンバーとしての指導対局などである。しかし、将棋のようにスポンサーがつく大会は少なく、賞金だけで食っていける世界ではないのが現実だ。

 また、各団体とも所属プロの年会費とプロテストの受験料は大きな収入源でもある。自分の実力を計るため、腕に自信のある人が受験するわけで、今回の勝間さんの合格に刺激された人も少なくないだろう。

 某プロは次のように言う。

「麻雀だけで生活しているプロはほんの一握りです。雀荘勤めが多く、サラリーマンやフリーターなど麻雀以外の仕事と掛け持ちをしている人も少なくありません。それでもみんな麻雀が好きだから、苦労しながら牌に触れているんです」

「ギャンブル」のイメージで大スポンサーがつかない

 大企業のスポンサーについてもらうことは麻雀界の長年のテーマだが「麻雀と将棋や囲碁との大きな違いは“ギャンブル・イメージの有無”です」と前出のプロは語る。

「最近はノーレートの雀荘も増えていますが、雀荘に集う麻雀ファンがギャンブルを求めている以上、麻雀とギャンブルは切り離せません。レートにもよりますが、トップでも2000~5000円程度がほとんどで、テン5、テンピン(100円)程度の“お遊び価格”の雀荘が平均的です。賭け麻雀で食べている人は“裏プロ”と呼ばれますが、現実問題、街のフリー雀荘で生活費など稼げませんよ」

 麻雀業界にとって、ギャンブルのイメージは必要悪であるという。前出のプロはこう付言する。

「ギャンブルのイメージがあるから大きなスポンサーがつきませんが、麻雀は“賭ける”行為があるからこそ楽しまれています。競技人口が増えることは各団体にとって喜ばしいことですが、賭け麻雀からスタートする人が少なくない通り、ギャンブルの側面は切り離せないんです」

 いい大人が4人集まって何も賭けないのはかえって不自然であり、麻雀は「賭けてナンボの遊戯」とも言われる。もちろん、賭けなければ健全な娯楽にもなる。「賭け麻雀が合法化されればスンナリしますね」と、前出の某プロは語ってくれた。

 ともあれ、麻雀業界が目指す「健全な娯楽としての地位確立」にとって著名人の存在は不可欠。勝間さんの合格を機に、麻雀人口が増えれば喜ばしいことだ。

(取材・文 後藤豊)

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