日本人殺害予告で岩上安身さんの発言が話題に|やまもといちろうコラム

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Photo by Bryan Dorrough via filkr
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 やまもといちろうです。カーボンダイエットほどではないんですが、大好きなご飯類やパンやラーメンを減らしたら、劇的に体重が減ってびっくりしています。凄い減らしたらまた炭水化物祭りをして太り、太ったらカーボンダイエットするという人生が送れそうな勢いです。

 ところで、ジャーナリストで岩上安身さんという方がいらっしゃるのですが、最近見ないなあと思っていたところ、ツイッターで凄い発言をしていてウェブ界隈に震撼が走っております。

 これは… ギャグなのでしょうか。前後の文章を読んでも冗談のようには見えず、どうやら本気でそう思っているようですが、要するにこれは「テロによるプレッシャーを認めて、政治が影響を受けてしまう」ことを意味するわけでして、犯行グループからしたら「テロをやって良かったね」という成果ですので、絶対にやっちゃいけないことのひとつなんですよね。

 もちろん、誘拐事件というのはイスラム国に限らず過去たくさんあり、またイスラーム世界では10名の日本人死者を出したアルジェリア人質事件も記憶に新しいところです。結局、経済目的であれ政治思想信条上の問題であれ、この手の事件においては公に人質救出のための条件交渉は応じないのが鉄則でもあります。

アルジェリア人質事件

 先日、東洋経済オンラインで仏文の鹿島茂先生が、かなり興味深い論考を掲載しておられました。

仏紙襲撃事件は、強烈な普遍主義同士の衝突

 一方、私が関わりのあるロシアでは、イスラーム世界との衝突は文字通り日常茶飯事で、地域のロシア系住民とイスラム教徒の間できちんとした取り決めを行い、お互いの顔役がお互いの住民に遵守させるというやり方で治安維持が保たれています。フランスのように、フランス人になったからには皆兄弟になるのだという風土はロシアにはなく、イスラームが常に生活の近くに見え隠れするからこそしっかりと境界を引き、お互いがお互いの生活を尊重するというゾーニングのような仕組みを持っています。まあ、だから何事かあるとすぐに暴力事件へと発展するのがロシアであり、今回のように「日本人が2人拉致されました」といっても「ほーん。で?」という反応しかしてくれないのがロシアでもあります。

 その意味で、以前からいろんな人たちが叫んでいた左翼の平和ボケで憲法第9条があれば日本人は大丈夫的な幻想も、何かややこしい話があったら神棚の上に上げておくような日本人の精神がそこにあるような気がするのです。まずは9条という概念を神に宿して拝んでおくみたいな。最後、本気で何かあったら神風を待つ的なところもあるのかもしれませんが、本来なら大騒動になるような事件が起きても、最後の瞬間まで日本人はのほほんとしているのを海外にいると良く目撃します。その問題が、自分のことだ、身に起きることだ、という想像力が良い意味でも悪い意味でも働かないような。

 この日本人の精神の独特さというのは、本当にこじれにこじれた問題であっても「腹を割って話せば」とか「誠意はいずれ相手に伝わる」というあまり根拠のない行動になって跳ね返ったりするのは、究極の意味での日本人のずるさでもあり、尊敬される部分でもあります。

 2年ほど前、仕事でインドに赴いたときに印象的だったのが「一人ひとりの日本人は本当に誠実で良い奴だ。私は日本文化や日本人は好きだ。なのに、なぜ日本企業はあんなに悪辣なのか」という述懐でして。確かに、酒を飲むと底抜けに善良で、家庭では虫も殺さないような日本人が、なぜか経営幹部になると企業がブラック化したりするんですよね。

 その意味で、日本人がイスラームのことをなかなか理解できないのと同様に、外国からも日本というのは分からん国だなあと思われていることを前提に、この手の国際情勢や事件は見極めると良いのではないかと思いました。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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