平成の大横綱・白鵬はなぜオヤジジャーナルに不評なのか|プチ鹿島コラム

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平成の大横綱・白鵬はなぜオヤジジャーナルに不評なのか|プチ鹿島コラム
 大相撲初場所。横綱・白鵬が33回目の優勝を果たし、大鵬を抜いて歴代最多となった。まさに平成の大横綱。しかしこの白鵬、最近オヤジジャーナル界では不評なのだ。

・《懸賞金を高々掲げ 横綱白鵬は勝てば何やっても許されるのか 》(1月19日)
・《右ヒジで頭部を…横綱白鵬が遠藤に食らわせた“プロレス技”》(1月17日)
・《「横審も「態度悪い」と批判 横綱白鵬なぜ“裸の王様”と化した? 》(2014年11月25日)

 あ、すべて「日刊ゲンダイ」でした。ゲンダイ師匠はここずっと白鵬には厳しい。先場所も今場所も白鵬の優勝を伝える記事ので「白鵬、そんなにうれしいか」と大見出しをつけていたほどだ。たぶん優勝はうれしいと思うが(ましてや大鵬の記録を超えたのだから)、では白鵬の何が問題になっているのか。

《張り差し、ダメ押し、ヒジ打ちに懸賞金を受け取るしぐさ。どれを見ても、横綱たる品格を備えていないことは一目瞭然だ。》とゲンダイは書く。

 百人いれば百人の考え方がある白鵬のふるまい。これには究極的には相撲を「普通のスポーツか、伝統芸能の成分を含むものか」のどちらに軸足を置くかで意見は分かれると思います。私は後者に近い。だからこそ最近感じることがあるのです。それは観客について。

 今回も遠藤戦で白鵬があれだけ荒くなったのは、館内の手拍子つきの「遠藤コール」にカチンときたという説がある。「いや、それでも横綱は堂々としてるべきだ」と言われれば話はそれで終わってしまうのですが、私は観客の様子が気になるのです。相撲ってそんなにアグレッシブに見るものだろうか?という疑問である。

 相撲を観にゆく行為は本来「相撲観戦」というより「相撲見物」という言い方のほうが合ってるはず。しっくりくる。ある意味歌舞伎を観にゆくのと同じ雰囲気。

 相撲ってテレビで見てると仕切りの時間がとても長く感じる。でも実際に生で観てみるとあのゆったりした間で弁当食べたり酒飲んだりするのがピッタリだとわかる。絶妙の時間。

 そう考えると相撲は格闘技・スポーツの会場というよりやはり歌舞伎座に近いのだと思えてくる。とくに初場所は客席には着物のお姉さま方も多い。館内全体からは華やいでホワンとした雰囲気がテレビからも伝わる。「ザ・正月興行」。

 そういう場で手拍子つきのコールは似合わない。歌舞伎のようにかけ声あたりでおさめておけばよい気がする。だが最近は対戦相手へのコールが起きたり、13日の白鵬と稀勢の里との一番では、物言いがついてる間に「取り直しコール」が起きた。これでは「普通の」スポーツ会場と同じ。もったいない。

 さて、相撲の観客のアグレッシブな行為でひとつだけ楽しみなものがある。それは横綱が負けたときに座布団が舞う風景だ。観客の興奮が伝わってくる。

 白鵬と遠藤の相撲に沸いた6日目、実はもっと驚いたことがあった。その前の取組で鶴竜が破れたのに館内は平穏だったことだ。横綱が破れたのに驚かないのか? 慣れてるのか!?

 いろんな意味で残念でした。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。

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