『統合医療展2015』（1月28～29日・東京ビッグサイト）で、今年流行るであろう最新健康法を探してきた。

　まず今年の一押しは水素サプリメント。この2～3年、水素水が流行っていたのをご存じだろうか？　人間の細胞が劣化するのは活性酸素のせいで、活性酸素によって細胞が酸化されて劣化し、老化するのだとする。だとすると活性酸素が細胞を損傷させる前に、何か別のものと先に結合させて無効化させてしまえばいい。

　これを抗酸化作用といい、ビタミンCやアスタキサンチンなどさまざまな抗酸化物質が見つかっている。水素もその一つだ。酸素と水素が結合すれば水になり、無効化するという。

　水素を高濃度で含む水を飲んだ場合、体内の活性酸素濃度を測定すると活性酸素が減少しているのは事実。問題は水素自体が気化しやすく、また大気中の酸素とすぐに結合するため、封を開けたらすぐ飲まないと意味がないし、飲んでも作用時間はとても短い（研究にもよるが、一般には15分程度）。

　そこで水素を発生させる物質をサプリメントとして摂れば、長時間、体内で水素が発生するため、体に強く作用する。サンゴを粉末にしたサプリメントを各社が販売しており、今年はこれが来そうだ。

　酸化によって体のパフォーマンスは低下していくので、水素によりそれを止めると時計の歯車は逆転こそしないまでも停止する。水素サプリメントを飲んだ運動選手はホルモン分泌量は増え、老化は止まり（マウスでは大幅に老化を遅らせることができた）、髪が生えた例も。

　音楽療法も注目だ。オルゴール療法は、音成分に低周波(3.75ヘルツ)から高周波(10万２千ヘルツ)が含まれているスイス製のオルゴールを使い、体の不調を治すというもの。以前はオルゴールの演奏講演を行う団体だったが、観客から体の調子が良くなったと言われたのがきっかけだそうだ。1995年に可聴域外の高周波と低周波により、脳幹と視床下部が刺激されると京大が発表、本格的にビジネスを開始した。

　治療法はシンプルで、オルゴールの上に手または頭を置き、オルゴールの振動を感じるというもの。作用するのは可聴域外なので、曲を聞く必要はないのだ。実際に体験すると、振動が伝わってきて気持ちいいが、効くのかどうかは不明。糖尿病の猫は病気が治って長生きしたそうだが。

　オルゴール療法に限らず、展示会には音を使って治療する製品が多数出ていた。胎教にモーツアルトを聞かせる、トマトにショパンを聞かせて甘くするなど周期的に音楽を使ったセラピーは流行する。今年は音楽療法が再び復活する気配がある。

　新しい免疫強化物質として注目はLPSだ。香川県のベンチャー企業自然免疫応用技研株式会社が研究開発した植物発酵糖脂質で、頭文字からLPS。パントエア・アグロメランスという菌が、人間の体内でマクロファージという細菌を捕食する免疫細胞の一種を強化することに注目、その強化させる物質＝糖脂質を小麦などを発酵させて量産化したものだ。

　データ上、塗ればアトピーは治る、新陳代謝は上がる、怪我の治りは速い、飲めばメタボは脱却、糖尿病は予防、アルツハイマーは防止。免疫全般を強化し、細胞の代謝をアップするらしい。家畜にも利用できるので、抗生物質の量を減らし、安全な食肉を提供することも。

　免疫活性というと今までは抗酸化作用のみだったが、免疫細胞そのものの材料を供給して免疫力を増そうというアプローチは新しい。EDにも効くのか？　と聞いたら、実験していないからわからないそうだ。残念。

　玉石混交、信じるか信じないかはあなた次第の代替医療の世界。それでも中には玉も混じってはいる。大学レベルの研究機関の臨床データがあるものを選べば、一定の効果は期待できるだろう。ただし、そんなバカな！　と思ったものは、99％、直感通りにバカな話である。世界に魔法はないのだ。

（取材・文／川口友万）