「狂牛病」とは一体何だったのか…国民を洗脳するマスコミの正体|長谷川豊コラム

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BSE騒動の真実とは?
BSE騒動の真実とは?

 皆さん、覚えているだろうか?「狂牛病」という言葉。後々、風評被害を避けるために「BSE」という言葉に置き換えられたが、最初はセンセーショナルに「狂牛病」という言葉がマスメディアでは使われていた。あの騒動も日本人のメディアリテラシーを語る上では印象的な報道の一つだ。

 今からもう10年以上前の話だが、日本でも、この「狂牛病」と称される病気の牛が確認されて、日本マスコミは腰をガクガクさせながら倒れこむ牛の映像を繰り返し流した。なんといっても絵が強かった。数字、取れるし。

人体には影響がないのに煽りまくったBSE騒動

 ただ、この病気は異常性プリヨンという特定の部位が人体にまずいだけで、それ以外は全く安全であり、気にするようなものでもないということは、実は当初から分かっていた。WHOもそう発表していた。世界の保険機構がそうおっしゃっていた。

 でも、それをそのまま言ってしまうと、視聴率が取れない。せっかくなので、国民の不安をあおるだけ煽っておいた方がいい(視聴率が取れない)ので、僕らメディアは徹底的にセンセーショナルに報道した。

 この2004年に巻き起こったBSE騒動と呼ばれるニュースは、商品の大部分をアメリカ産牛肉に頼っていた吉野家の牛丼などは大きなダメージを受けた。しかし、この話はアメリカサイドから見ると、あまりにも違った見え方がする。

 当時の世界では、BSE問題というものはそこまで危険視されておらず、しかも、WHOの発表により、人体に与える影響としては極めて危険性が低いということは既に知られていた事実だった。それでも、日本人は「何か問題が起きてからでは遅い!!」と全面輸入禁止。当時、日本人を相手に輸入をしていたアメリカの酪農家たちは、実は壊滅的なダメージを受けていたのだった。当然だ。昨日まで輸出できていたものが全部ストップしたのだから。

 しかしその後……全米の酪農家たちが苦しんでいるというニュースがアメリカ国内で流れた後、アメリカ人たちの牛肉消費量はむしろ……「増えた」そうだ。面白い。これは日本にはない文化だと思うが、

「俺たちの国の酪農家たちがいま苦しいんだとよ!」
「他の国が輸入禁止とかにしてるらしいぜ!」
「本当は安全なのに、可哀想だぜ!」

 ってな感じで、応援を込めて、みんなでガンガン牛肉を食べ、BSE騒動の後、一時は牛肉の消費量が減ったものの、その後はむしろ増えたそうだ。ドネーション(寄付)文化というやつだと思うが、困った人間を助けるのはとても良いこととされているので、アメリカ人はよくこういうことをする。

 僕の好きなアメリカ気質の一つだ。良くも悪くも、自分たち、大好き。超大好き。そんな、困った人たちを救っている、そんな優しい自分も大好き♪アメリカのこと、僕は嫌いになれない。

 そんな訳で、実は、ほぼ人体に影響なんかないことが分かりきってるにも関わらず、せっかく視聴率が取れるネタなので、テレビで煽るだけ煽りまくったBSE騒動。2004年に大々的にアメリカ産牛肉、輸入禁止という措置を取ったものの、翌2005年にはあっさりと再び解禁。

 ん? なにかあったか? みたいな感じになり、解禁したことにほとんど誰も文句言わなかったというのが、日本国内のあの騒動の結末だったりする。たった1年前、アホみたいに騒ぎまくってたのがウソのようだ。そう。ほぼウソなんだが。

 日本人って、本当に「気になったところだけ妙にエキセントリックになる」人種だなぁ……とつくづく思う。逆を言うと、気にならなければ、ダメなことでもほっとくのだが。

著者プロフィール

フリーアナウンサー

長谷川豊

フジテレビ出身のフリーアナウンサー。14年間、朝の情報番組「情報プレゼンターとくダネ!」で、現場取材やニュースのリポートを担当。取材した現場数は1700以上。伝えたニュースは2500を超える。退社後はアナウンサーだけではなく、講演・執筆など、多方面で活躍中。現在、TOKYO MX(デジタル9チャンネル)の「バラいろダンディ」(月~金 夜9:00~)でメインキャスターを務める他、「キリウリ$アイドル」などのバラエティーの司会も務める。

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