「リアル車将棋」は羽生名人が快勝! “史上最大のおバカ企画”対局リポート

デイリーニュースオンライン

日本将棋連盟公式サイトより
日本将棋連盟公式サイトより

 2月8日、西武ドームにて地上最大の将棋イベント『電王戦×TOYOTA リアル車将棋』が開催された。その名の通り、自動車を将棋の駒に見立てて、実際に将棋をしてしまおうというおバカ企画。

 車ではなく「人間将棋」であれば、山形県天童市が町おこしで行うなど過去にも開催されてきたが、「車将棋」となると当然ながら史上初めての試み。果たして、その対局はどのようなものだったのか? ニコニコ生放送で完全生中継され、来場者数49万6692人を集めたそのイベントの模様をお届けする。

全力の“おバカ企画”は景気回復の兆しか!?

 将棋界のスーパースター・羽生善治名人(現在は四冠を保持)と、次代のエースと名高い豊島将之七段との対戦。午前10時から放送が始まると、まずは視聴者投票によって選ばれた豊島サイドの駒=車種の発表。羽生サイドの駒は「過去の名車」というコンセプトですでに発表されていたが、豊島側の「現役世代の車」をコンセプトとした駒は当日発表ということで「角=MIRAI」、「金=プリウス」などの駒が発表された。

 その後、野球評論家で将棋アマ三段の腕前を持ち、なおかつトヨタ自動車野球部出身という、このイベントのゲストとしてこれ以上ない肩書きをもつ古田敦也氏の振り駒(歩を5枚振って、その裏表で先手後手を決める)によって、先手が豊島七段、後手が羽生名人と決まった。

 古田氏からは「このバカバカしい感じに、景気がよくなってきたと感じる」と、率直なコメント。その直後、ドローン(リモコンヘリ)が巨大将棋盤の真上から始まり、グラウンド目線を経由して球場上空まで飛ぶというオープニング映像が流れ、このイベントの壮大さを印象づけた。

注目の瞬間! 駒が成るときはどうなる?

 各陣営の対局者がテント内で指し手を宣言すると、各陣営5名ずつのドライバー(羽生側=早稲田大学自動車部、豊島側=トヨタ自動車テストドライバー)がその駒へ走り、動かしていく。車を動かす際には、サポート棋士が次の手を推測して、将棋に詳しくないドライバーにスムーズな動かし方をレクチャーしながら対局は進められる。そして、午前11時頃から対局が始まると、わずか10分後に早くも大きな見せ場がやってきた。戦型はお互いの角を交換する「角替わり」に進んだため、10手目にして「7七角成」が実現した。

 まずドライバーがいくつかの駒に走っていく。2二の位置にある角を7七まで動かすため、車の進路にある2四と7六の歩(ヴィッツ)を避け、7七の相手の角(ランドクルーザー)を駒台に動かしたあとで、その場所に自分の角(MIRAI)を持っていく。

 そして、ドライバーチームの監督が「指し手終了」を宣言すると、いよいよ駒が成るタイミングが訪れた。さあ、果たしてどのように駒が成るのか?──どちらのチームでもない黒子がやってきて、その「角」と書かれている駒のプレートをめくると、その下に「馬」の字が現れる。うーむ、たしかに楽な方法ではあるが、ちょっと拍子抜けの成り方だったかも……。

 そう思っていたら、この後、大どんでん返しが待ち受けていた。前に1マスしか進めない「歩」から、大幅に駒の性能がアップする「と金」に成った69手のことだった。おもむろに歩が将棋盤から退場すると、入れ違いにセンターバックスクリーンに「と」と書いたヴィッツG’sが登場。スポーツカーを意識した上位車種にバージョンアップを果たしたのだ。

 実は歩のほかにも、飛車(成ると竜になる)、銀の2種類もこのバージョンアップ仕様の成駒が用意されていたのだが、実戦では登場しなかったのが残念だった。

演出方法には改善の余地ありか

 将棋の内容としては、「角替わり」から最近の流行型の展開となり、豊島七段が日頃の研究を活かした新手を披露、一時はやや有利に対局を進めた。しかし、そこから羽生名人が冷静に攻め立てて逆転、午後7時過ぎに豊島七段が投了して、地上最大の対局は羽生の快勝で幕を閉じた。

 対局の合間には、有名棋士の解説、自動車業界の著名人などが登場してのトークコーナー、糸谷哲郎竜王による「スイーツ食レポ」など、将棋初心者にも飽きがこないような構成がなされており、長時間にわたる番組でも、じゅうぶんに楽しめた。

 ただし、初めての試みだけあって、まだ改善できそうな余地もあった。例を挙げるなら、駒が取られるときや成るとき、あるいは投了時に、たとえば“爆発”など演出をもう少し派手にしても面白かっただろう。

 また、クレーンを使った定点から将棋盤を斜め上から見下ろした早送り映像は、まるでミニカーを使った箱庭のようでかなりインパクトのある映像だったが、その反面、将棋盤としてのフィールドとしては見にくく、それそのもので将棋観戦をするには適していなかった。一方、真上からの映像はラジコンヘリを使って撮影されていた前述のオープニング映像など、ごく一部でしか見られなかった。もし次回の開催があるならば、天井に固定カメラをつけるなど、真上からの定点観測映像を見てみたいと思う。

 なお、このイベントは3月14日から開催されるプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトとの対戦『将棋電王戦FINAL』のプレイベントとして開催されたものだった。プレ企画にしては豪華すぎる企画だったが、この成功が「電王戦」の盛り上がりにもつながっていくであろう。今回のイベントとはまたまったく違う、プロ棋士の意地と真剣さが見られる「将棋電王戦」にも期待したい。

(取材・文/根腰英太)

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