【日本殲滅】第二の尖閣諸島か?次に狙われる"天然資源"の島

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さとうきびの島として有名な南大東島(写真/ 衛兵隊衛士)
さとうきびの島として有名な南大東島(写真/ 衛兵隊衛士)

 砂糖の業界団体から政治献金を受けていた問題で、西川公也農水大臣が辞任に追い込まれた。

 砂糖は米・小麦・牛肉・豚肉、乳製品と並び、TPPの重要5品目とされている。農協をはじめとする農業団体は、TPPに反対の立場を取っている。なかでも、強硬に反対しているのが砂糖業界だ。

 砂糖の関税が撤廃されれば、砂糖業界は窮地に立つだろう。砂糖業界はTPP交渉を有利にしようと、政治家に働きかけてきた。その理由は、なによりも砂糖の生産現場にある。

 日本国内で砂糖が生産されているのは、沖縄県・鹿児島県・北海道。この3道県で国内生産のほぼ100%を賄っている。特に、沖縄県において製糖は経済を支える基幹産業である。ある政府関係者はこう話す。

「TPPで砂糖の関税が撤廃されて、安い砂糖が大量に海外から入ってくれば沖縄県の経済は壊滅する。本島は観光産業で生き残ることもできるが、砂糖しか主だった産業のない離島は生き残れない。特に大東諸島は、かなり厳しい」

 大東諸島は約2000人の島民が生活しているが、その9割近くが製糖産業に従事している。最近は観光業への転換も進めているが、沖縄本島からも300キロメートル以上も離れている交通アクセスが難点。製糖以外の産業も乏しく、過疎化が進む一方だ。

大東諸島の砂糖や海洋資源が狙われている

 大東諸島が直面しているのは、過疎化による島の衰退ばかりではない。沖縄本島から離れているために、有事の際に自衛隊などが救援に駆けつけるのに時間がかかる。一朝事があった場合、大東諸島のような離島を完全に守ることは容易ではない。そうした国防上の問題にも晒されてきた。ある自民党国会議員はこう話す。

「他国が大東諸島のような小さな島を攻めても意味がないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。現在、石油や天然ガスに替わっていますが、歴史的に見ればヨーロッパやアジアでは砂糖や塩、胡椒をめぐって何度も戦争が起きています。大東諸島の砂糖や周辺の海洋資源を狙って、外国が侵略してくることだってあり得ます。米軍が大東諸島のような小さな島を守ってくれるとは考えにくく、集団的自衛権はアテにできない。国土や国民の生活を守ってこそ国家なのですから、沖縄の離島は自衛隊で守るしかないのです」

 現在、中国との衝突が繰り返されている尖閣諸島では、戦前期にカツオブシ工場が操業し、200人以上もの日本人が暮らしていた。島で人が生活しているという実態が、自然と島を守ってきた。無人島になると、監視の目はどうしても届きにくくなる。尖閣諸島が中国の不審船から狙われた例を持ち出すまでもないが、過疎化した島は外国からターゲットにされやすい。遠くない将来、大東諸島にもそうした事態が想定される。

「砂糖産業が壊滅して沖縄県の離島が無人島化したら、それこそ中国の不審船が大量に押し寄せてくるでしょう。そうなった場合、国が沖縄の島々を守らなければなりませんが、それには莫大な防衛費がかかる。それよりも砂糖産業を活性化させて、過疎化を防ぐことの方がよっぽど国土防衛になる。TPP貿易政策という面が語られがちですが、実は国土の防衛政策にも直結するのです」(前出・政府関係者)

 地方創生を旗印にしている第3次安倍政権は地方経済を破壊する可能性のあるTPPをどう捉えているのか? 離島経済が崩壊すれば、国土防衛の危機も同時に押し寄せるが、その対策を検討しているのだろうか?

 大詰めを迎えるTPP交渉の行方は、大臣の辞任で不透明になりつつある。

(文/小川裕夫)

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