モーゼの墓、日本のロズウェル……北陸B級スポットを巡ってみた

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知られざる珍スポットがたくさんあった!
知られざる珍スポットがたくさんあった!

 新幹線の開通でアクセスが大幅に便利になった北陸。実は、この地方はB級スポットの宝庫で、「なぜココにこんなモノが?」という珍名所が多い。そこで北陸各地にあるB級スポットを巡ってみた。

バブル期に建立! 観光客ゼロの巨大仏像は差し押さえ物件

 まず訪れたのは、福井県勝山市にある越前大仏。「B級どころかフツーの観光スポットじゃん!」と思うなかれ。築ウン百年や千年以上が当たり前の中、この大仏がある大師山清水寺がこの地に誕生したのはバブル真っ只中の1987年。当時、大阪でタクシー会社を経営していた地元出身の男性が「でっかい大仏を造って観光名所にしよう!」と故郷への恩返しを込めて、資材380億円を投じて建立したんだとか。

 つまり、成り上がりのオヤジが大仏で故郷に錦を飾ったわけだが、これに対する地元の反応は困惑の一言。奈良・東大寺の大仏を上回る高さは17メートルというスケールだが、「結局、あんな立派な大仏さんを立てても誰も来んね。ここは歴史や伝統は何もないし、ご利益だってなさそうやしね」と近所に住む老人も冷ややかだ。

 建立当初、拝観料は大人1人3000円と狂気の沙汰とも思える料金設定も影響してか訪れる参拝客はまばら。拝観料はその後、2500円→1000円を経て、現在は500円に下がったものの訪れた当日は、自分以外に参拝客の姿はなかった。

 参道沿いには大勢の参拝客を想定したのか門前町も整備されていたが、当然ながらシャッター門前街と化している。これほど巨大な大仏があるのに、ここまで人が来ないスポットも珍しいだろう。

 ちなみにこの越前大仏、2002年まで宗教法人にしておらず、地元自治体への固定資産税の納税義務が生じていた。ところが、これを滞納してしまい、2004年に差し押さえられてしまったのだ。

 でも、競売の最低入札価格が高額で、4度目の入札が行われた2009年には28億円まで下がったが入札はゼロ。巨大な不良債権と化しており、地元市民からも「早く何とかしろ!」と声が上がっている。

 ご利益は期待できなさそうだが、大仏や五重塔は立派なので一見の価値はあるはずだ。

■越前大仏:福井県勝山市片瀬50/えちぜん鉄道勝山駅からバスで10分/拝観時間8:00~17:00/拝観料500円

地元民は失笑!? 青森「キリストの墓」と双璧をなす珍公園!

 続いて訪れたのは、金沢から能登半島を少し北上したところにある石川県宝達志水町。実は、旧約聖書の十戒で知られるモーゼがこの墓があり、今は『伝説の森公園』(通称モーゼパーク)として町民に開放されているのだ。

 本当にモーゼが眠っているとしたら歴史を根底から覆すことになるが、最寄りの宝達駅にはハッキリと“モーゼが眠る町”とある。さらに同町のホームページにも「モーゼは天浮船に乗り、能登宝達山に辿り着いたという。その後、583歳までの超人的な余生を宝達山で過ごし、三ッ子塚に埋葬された」と紹介されている。

 ツッコむべき点はいろいろあるが、確か青森県には『キリストの墓』なるスポットもある。当日はあいにくの雨だったが、逆にそれがかえって神秘的な雰囲気だ。

 でも、いざモーゼパークに入ろうと思ったら3月末まで立ち入り禁止の文字。おまけに熊出没注意の看板もあり、やむを得ず引き返すことに。

 仕方なく聞き込みを行うが、「モーゼ? そんなことあるわけなかろう。誰も信じとらんよ」とは近くに住む老人。ほか数名の住民に話を聞くも似たような反応だった。

 そもそもモーゼの墓がここ眠る根拠とされたのは、明治末期に竹内巨磨という人物が公表した『竹内文章』と呼ばれる歴史書。ただし、内容は我々が知る歴史とは大きくかけ離れており、専門家の間では偽書とされているが、原書は焼失して現存していないとか。

 いずれにしても中に入れないのでこれ以上の調査は断念したが、住民の1人から「B級スポットならここから少し北の羽咋市にある「コスモアイル羽咋」にUFOや宇宙人に関する資料が展示されてるよ」という興味深い情報を入手。さっそく現地に向かってみることに。

■モーゼパーク:石川県宝達志水町河原地内/JR宝達駅から徒歩25分

日本最大級のUFO情報スポットはすごかった!

 羽咋駅に着いた記者を迎えたのは、「UFOのまちへようこそ」の看板と、円盤型UFOのオブジェ。駅には能登半島出身の人気力士、遠藤関とグレイと呼ばれる宇宙人のここでしかお目にかかれないシュールなコラボ像が飾ってある。

 コスモアイル羽咋は宇宙をテーマにロケットや宇宙船などを展示。多くの観光客が訪れていたが、同時に数多くのUFO写真もパネルで展示。ファイリングされた一般の人から寄せられたUFO目撃情報は閲覧可能で、その情報量の多さは日本一といっていいレベルだ。

 展示物を説明するスタッフの話に耳を傾けると、能登地方に伝わる民話の中には解釈によってはUFOや宇宙人とも捉えられる話があるとのこと。モーゼパークの紹介文にあった「天浮船」という乗り物もひょっとしてUFOなのだろうか? トンデモ話だと思っていたら話がリンクしており、トンデモなりの根拠はあるようだ。

 まるで米国のロズウェル(※1947年にUFOが墜落。米軍が宇宙人を回収したとされる事件)のようだが、UFOマニアからは“日本のロズウェル”と呼ばれている羽咋市。コスモアイル羽咋も名誉館長がUFO番組でおなじみの矢追純一氏が務め、過去にはUFや宇宙人に関する国際会議が行われている。

 いずれも王道の観光スポットではないが、意外と楽しめるはず。北陸に訪れた際は、ぜひ足を延ばしてみてはいかが。

■コスモアイル羽咋:石川県羽咋市鶴多町免田25/JR羽咋駅から徒歩15分/営業8:30~17:00(火曜休館)/大人400円(併設のコスモシアターとの共通券は800円)

(取材・文・写真/高島昌俊)

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