【お家騒動】「大塚家具」だけじゃない有名企業の親子バトル

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画像は公式HPより
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 入口で名前や住所を書かされて会員登録。館内を見て回る間は、店員がマンツーマンで付きっきり……。独特の販売方法で売上を伸ばしてきた大塚家具が、骨肉の争いで大揉めに揉めている。

 2月、創業者の父・大塚勝久会長が娘の大塚久美子社長に対してダメ出しし、次の株主総会での社長復帰をアピール。久美子社長も真っ向から反論し、お互いが相手を「経営に不要な人材」と断じて、それぞれが新役員メンバーを提案する事態となった。背景には前述の会員制スタイルで伸ばしてきた売上が、2008年の700億円をピークに下降。2010年以降は550億円程度で移行している業績不振がある。昨年の父による娘の社長解任と自身の会長・社長兼任、今年に入って娘が反撃して社長復帰と、ニトリやIKEAの脅威(注1)が迫るなかで目まぐるしく権力の座を争っているのだ。

佐川急便や赤福も……有名企業の親子対立

 こうした有名企業での親子対立は珍しいが、先例が無くはない。

 2000年。「佐川急便」創業者の佐川清氏が、経営方針で対立していた大阪佐川社長で、実の息子の栗和田榮一氏を解任(注2)。

 2014年。三重県の老舗和菓子製造販売の「赤福」で、浜田典保社長が退任し、後継社長に実の母、77歳の勝子氏がついた。

 2015年。ロッテグループの持株会社ロッテホールディングス(HD)は重光宏之副会長について、ロッテ商事の社長など兼務するグループ3社の取締役かの職を解くことを発表した。副会長は、創業者でロッテHD会長の重光武雄氏の長男だ(注3)。

 血は水よりも濃い。親が自ら築き上げた会社を、息子や娘に継承してもらいたいと思うのは自然だ。しかし往々にして、「生き方」の継承を強要する傾向がある。息子たちは自分の人生は自分のやり方で生きたい。かくして親子の骨肉の争いは、宿命的に起こる。

 美熟女ぶりから「かぐやひめ」と愛称までついた大塚家具の久美子社長と、父・大塚勝久会長は、どちらが大株主からの委任状を預かれるかのプロキシ・ファイトに突入。決戦の場は3月末の株主総会だ。どちらが勝っても、敗者は会社を去る可能性が高い。

「親子の確執は当たり前。二代目がイエスマンで、先代の言いなりの経営ってどうかと思うなあ」「オレは親父の言っていることは、全然わからなかったね」

 ……とは”大塚親子戦争”の感想を求められた、長嶋一茂の弁だ。戦後最大のスーパースターである父・長嶋茂雄との確執(注4)が伝えられるが、どこ吹く風。

 大塚家具の皆さんも、このノーテンキっぷりを見習った方が楽かもしれない。

(注1)ニトリやIKEA…順調に売上を伸ばしている。
(注2)栗和田榮一氏…その後、逆襲。佐川清氏の影響力を排除して、佐川急便社長に返り咲いた。
(注3)ロッテ騒動…解任理由については発表していない。
(注4)長嶋親子の確執…「長嶋茂雄」の商標権などに一茂が手を伸ばし、ミスターの怒りを買った。親子兄弟が二派に分かれ、根が深そう。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。DMMニュースではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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