【プロ野球】優勝候補・広島カープを襲う最大の敵とは?

デイリーニュースオンライン

画像は広島東洋カープ公式サイトより
画像は広島東洋カープ公式サイトより

 オープン戦も終了し、いよいよ2015年のプロ野球が開幕する。シーズン前には各メディアで順位予想が行われているが、多くの解説者が上位予想しているのが、広島カープだ。しかし、オープン戦の成績は3勝7敗3分で2005年以来10年ぶりに最下位。チーム防御率は4.08でチーム打率は.200。投打の数字も最下位での終了となった。投打共にほころびを露呈したとも言われるオープン戦の成績に、ファンのなかからは今シーズンを心配する声も上がっている。そこで、ファンの声から広島の不安要素を検証してみた。

主砲の離脱にキーマンの負傷

 まずは、打撃編から。

「例年そうだけど打線が不安」(20代男性)
「エルドレッド不在によるダメージは計り知れない」(40代男性)
「堂林を始め若手が伸び悩んでる印象」(30代男性)
「怪我人続出だし、こうなったらノリさん取るしかねーよ!!」(30代男性)

 と、多くのファンが訴えるように、ここまで12球団最下位のチーム打率が示す、湿った打線が不安要素の筆頭にあがっている。打線停滞の一因として、昨シーズンのホームラン王エルドレッドの戦線離脱が大きい。また、昨シーズン、エルドレッドとともに大活躍したロサリオも出遅れ、バックアップとして期待が高まってきていた新井貴浩までも負傷するなど、ここに来て主要選手の離脱も相次いでいる。

 さらには、奮起が期待される若手、3年目の鈴木誠也、美間優槻、ルーキーの野間峻祥、ショートのスタメンが有力視される田中広輔、そして、堂林翔太にも結果が出ていない現状が、より打線への不安を募らせている。

 新外国人のヘスス・グスマンに頼りたいところだが、現状では未知の部分が多すぎて信頼はまだ得られてはいない。菊池涼介、丸佳浩といった日本代表二人を擁しながらも繋がらない打線。なんとももどかしいかぎりである。

先発陣を救援できない中継ぎ陣

 続いては、中継ぎ投手陣への不安だ。

「オープン戦とは言え、中継ぎが打たれ過ぎ」(30代男性)
「中田の怪我は本当に痛い……。中田なしの中継ぎは恐ろしすぎる」(30代男性)
「まさかヒースまで打たれるなんて……」(20代女性)
「ザガースキー……、君、食ってるだけやないか!」(40代男性)

 前田健太、黒田博樹の両エース、オープン戦で結果を残しているそのほかのローテーション投手は順調ながら、中継ぎ陣に大きな不安が寄せられている。オープン戦7敗のうち5試合で中継ぎ投手に黒星がつき、引き分けの1試合も中継ぎが打たれての引き分けだけに、不安と感じるのは当然だろう。

 その要因は、昨シーズン66試合の投板で、獅子奮迅の活躍をした中田廉の負傷。今季はさらなる飛躍が期待されていただけに、開幕に間に合わない可能性の高いこの離脱は、中継ぎ陣の不安理由のトップにくるのは間違いない。

 また、慢性的な左腕不足のチーム事情の中で、戸田隆矢、佐藤祥万、飯田哲也ら、期待された左腕投手がことごとく打ち込まれてしまった現状も不安を煽る。

 そして、ここまで順調だったクローザーのデュアンテ・ヒースが3月21のホークス戦で打ち込まれてしまった。開幕直前でのクローザーの敗戦は、ポジティブになれる要素を消し去るには十分すぎるそれであった。

 九里亜蓮、一岡竜二、中崎翔太など、期待の若手は順調であるが、それぞれ年間を通じての活躍経験はないため、実績面での不安は否めない。昨今の野球界は、中継ぎ投手陣のできが優勝を左右する傾向が強いだけに、ファンが中継ぎの不安から優勝を危惧してしまうのは当然だろう。

広島ナイン最大の敵はフレッシャー!?

 そして、現在の注目度にも不安の声が上がっている。

「前評判が高すぎるのが逆に怖い」(30代女性)
「去年もそうだけど、勝負どころで弱いのがぼくらのカープじゃから……」(30代男性)
「強いのは間違いないだろうけど、勝負は始まってみないと分からない。若い方は知らんかもしれんけど、96年シーズンの悲劇をワシは忘れとらんよ」(50代男性)
「盛り上がり過ぎているファン、マスコミの存在。選手のプレッシャーにならなければいいけど……」(30代男性)

 このように、盛り上がりすぎている現状に不安を示すファンも多数いる。近年の躍進で強いチームのように見えるカープではあるが、実際は昨シーズンの勝ち越しが、実に13年ぶりとなるほど勝ちから遠ざかっていたチーム。長年そんなチームを応援してきたファンは、久々に訪れたチャンスに戸惑いを覚えている感は否めないようだ。また、昨シーズンの終盤に見せた勝負どころでの度重なる敗戦が、脳裏に焼きついているファンも少なくない。

 そして、オールドファンが忘れていないのが、1996年シーズンの悲劇。野球ファンには有名な、あの“メイクドラマ”のシーズンだ。

 当時のカープはビッグレッドマシーンと呼ばれる超強力打線を擁し、優勝候補の常連チームであった。1996年は、6月終了時点で、2位中日ドラゴンズに8ゲームの大差をつけ首位を独走。しかし、7月9日の札幌円山球場での対読売ジャイアンツ戦で、2回2死から、9連打を浴びせられ惨敗を喫すると、チームは完全に勢いを失い失速。反対に、この試合で勢いづいたジャイアンツは、最大11.5ゲームを離されていたカープを追い抜き大逆転優勝を果たした。当然ではあるが、優勝が確実視されていた中での敗戦に涙したファンも多い。

 そして、広島カープはこの年以降、暗黒時代に突入。この苦い記憶を忘れられないオールドファン達は、当時のように優勝を狙える布陣を揃えた今季のカープを、96年当時とダブらせてしまっているのだ。

 シーズン直前で不安要素が続々と噴出している広島カープであるが、戦力を見れば他球団が手を焼くことは間違いない。果たして24年ぶりの優勝は、達成されるのだろうか。

(取材・文/井上智博)

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