【大韓航空】ナッツリターン裁判の証人に立った社員に「報復措置」か

デイリーニュースオンライン

懲役1年の判決に国民からは「甘い」の声(写真提供/山田俊英)
懲役1年の判決に国民からは「甘い」の声(写真提供/山田俊英)

 ナッツ姫こと大韓航空前副社長の趙顕娥(チョ・ヒョナ)被告(=41)が一審で懲役1年の実刑となった。

 即時上告したが、その際、一審の弁護団10人のうちユ・スンナム弁護士以外の残り9人の弁護士を解任、新たにハン・ヤンソク、イ・イニョン、ユ・スンリョンら3人の最近まで判事だった弁護士3人を加え、4人の弁護団で二審に臨むことが韓国経済新聞の報道で明らかになっている。

ナッツ姫のわがままぶりに国民も怒り心頭

 2014年12月に「ナッツリターン事件」を起こして国内外の耳目を集めた趙顕娥被告。大韓航空副社長であり、自身がファーストクラスに乗ったニューヨーク発仁川行き大韓航空機KE086便で、機内サービスとしてマカデミアナッツを袋のままキャビンアテンダントが差し出したことに激怒。機長に命じ、動き始めた飛行機を搭乗ゲートに戻させ、強引に機内サービス責任者を飛行機から降ろしたことが航空機航路変更罪や強要罪などの罪に問われていた。

 本来、機内サービスのマニュアルでは袋のままナッツを提示し、乗客が食べる意思を示したところで皿に盛りつけるのがルールであるため、キャビンアテンダントの対応には問題がなかった。にもかかわらず「袋のまま差し出すとは何事だ!」と激昂したこの元副社長に対し、韓国の一般市民は冷ややかな視線を送った。

 また、実は趙顕娥被告はマカデミアナッツが嫌いで、そのことについて「会社から何も聞いていないのか」と怒られたなどというキャビンアテンダントの証言もあり、趙被告のわがままぶりが露呈。市民の反感は高まる一方だ。

 趙被告は、公式の場では「ごめんなさい」という謝罪の言葉ばかりで、この弁護団の大幅な人員入れ替えについて一切コメントを発表していない。

証人の機内サービス責任者に「報復業務」

 一方、ナッツリターン事件で土下座をさせられた挙句に飛行機から降ろされた機内サービス責任者、パク・チャンジン事務長は法廷の場で証人として証言したが、そのことが恨まれたのか、2カ月間の病気休暇を終えて職場復帰するや大変なことになっている。

 なんと、30時間休みなしで国内線と短距離国際線ばかりの過密スケジュールでパーサーとしての仕事をあてがわれているのだ。

 通常は1カ月に3回はある長距離国際線の業務は、仁川―ローマ便1回だけ。短距離国際線や国内線は現地に滞在せず、すぐに次の乗務があるのでパーサーやキャビンアテンダントからは嫌がられる仕事であり、乗務手当も長距離便に比べると安い。

 大韓航空側は「スケジュールは管理されているもので、悪意をもって作られたものではない」と釈明しているが、同僚のキャビンアテンダントやパーサーたちの間では、趙顕娥被告がパク事務長の証言で懲役1年の実刑判決が出たことを逆恨みした報復措置だと噂されている。

 これに対し、韓国国内のマスコミは社説などで「誤った特権階級意識を持たないように、企業や家庭の教育をしっかりやるべきだ」などとコメント。一般市民の間では「執行猶予なし、懲役1年」という判決を軽いと受け止めて「もっと厳しく罰するべきだ」という論調が強くなっている。

(取材・文/山田俊英)

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