日本人を悩ます花粉症は寄生虫で治る!?

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花粉シーズン到来!
花粉シーズン到来!

 花粉症で悩んでいる人は非常に多い。花粉症の罹患率は気持ちいいぐらいに毎年増えていて、厚生労働省の傷病別年次推移表によると、花粉症で通院した1日あたりの患者数は、昭和59年に300人だったのが平成14年には1100人とおよそ4倍。2008年時点で人口の約2割強が花粉症に罹患しているという。

 花粉症の原因は、アレルゲンであるスギ花粉の増加や中国の大気汚染の影響などさまざまに言われているが、環境が清潔になって回虫がいなくなった結果、花粉症が増加したという説がある。

 回虫でなぜ花粉症が治るのか? 国立公衆衛生院微生物学部長(当時)の井上栄氏や東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏らが提唱したこの説、メカニズムはこうだ。

 異物が体内に入るとそれを排除しようと抗原抗体反応が働く。回虫やギョウチュウなどの寄生虫が抗原となり、免疫グロブリンE抗体というたんぱく質が作られる。免疫グロブリンE抗体は肥満細胞に働きかけ、細胞内に蓄えられているヒスタミンなどの化学物質が放出される。こうした化学物質は寄生虫を体外に排出するように、平滑筋を収縮させ、血管が拡張したり炎症を起こす。

 花粉症は花粉が抗原となり、花粉がとりついた鼻粘膜の肥満細胞からヒスタミンなどが放出される病気だ。ヒスタミンによって粘膜が炎症を起こし、鼻水やくしゃみ、涙などで体外に花粉を押し出そうとする。

 70年代から日本人の寄生虫感染率は劇的に低下したが、一方で免疫グロブリンEによる免疫機構はそのまま生きている。そこにスギ花粉などが入ったために花粉症が起きたという。寄生虫が体内にいると、寄生虫を抗原とした免疫グロブリンE抗体が鼻粘膜の肥満細胞に結合する。そのため、花粉が鼻粘膜の細胞と結合できず、花粉症にならないらしい。

 いかにも説得力がある回虫駆除説だが、追試のデータはあまり芳しくない。三好耳鼻咽喉科クリニックの三好彰院長が日中の小中学生を対象に、花粉症と寄生虫感染の関係について調査したところ、関係が見られなかったというのだ。

 寄生虫は花粉症を抑制しないのか? 寄生虫駆除が花粉症の原因というのはトンデモ科学なのか?

回虫のおかげで10年来の花粉症が治った

 さて。私の友人は10年来の花粉症患者で、3年前の春から耳鼻科で薬をもらっている。くしゃみが止まらず目がかゆく、それは耐えがたいものらしい。ところがその翌年、いきなり花粉症が治ってしまったのだ。その次の年、つまり昨年もまったく花粉症が出なかった。体質が変わるってことがあるのかと思っていたらしいのだが……。

「去年、トイレでさあ」

 ひも状のものが。

「そういえば糸コンニャク、食ったなぁと」

 ……イヤな予感がするが、それで?

「半年前にもっと長いのが出てさあ。そうそう、昨日はモヤシを喰ったんだっけ」

 そしてつい1カ月前のこと。

「30センチもあるのが出てきたんだよ」

 うう、気持ち悪い。聞かなきゃ良かった。さすがに友人もショックで、慌てて医者に行ったら、

「何か生野菜食べましたか?」

 そりゃサラダぐらい食うだろうと思ったが、とにかく回虫だろうとのこと。寄生虫にはサナダムシのような条虫や学校で検査していたギョウ虫、ギョウ虫よりも長くて10~30センチになる回虫がいる。

 回虫は相当にイヤな生き物で、小腸から体内にもぐり込み、血流に乗って肝臓に行き、次に心臓、肺を巡って肺胞を破って外に出てくる。そして気管をさかのぼり、食道を降りて腸に戻る。体の中を回るから回虫なのだ。

 医者でギョウ虫・回虫の特効薬コンバントリンを処方され、飲んだ。この薬、1回で90%の駆除効果があるそうだ。そして駆除してどうなったか?

「週末からさっそくぶり返してきました。もう本当に居なくなったようです」

 マジですか。

 花粉症に寄生虫は効くのだ! 少なくとも友人の場合は効いた。寄生虫に対して免疫が効果的に働く条件があるのかもしれない。お医者さんと製薬会社はあきらめずに研究を続けていただきたい。

 遺伝子操作で増殖しない寄生虫を飲んで花粉症を治す、なんて未来があるかもしれないではないか!

(取材・文/川口友万)

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