【プロ野球】広島カープ・黒田博樹復帰戦を目撃したファンをスタジアムで直撃

デイリーニュースオンライン

真っ赤に染まったMAZDAスタジアム
真っ赤に染まったMAZDAスタジアム

 3月29日、広島カープに電撃復帰した黒田博樹が先発をつとめたこの日、MAZDAスタジアムにはこの日を待ちわびた31540人のファンが集結。チケットは発売から数分で完売し、オークションでは数倍の値が付くほどに注目が集まっていた。早朝から多くのファンが長蛇の列を作り、報道陣の数も過去最高と、まさに歴史的な1日をレポートする。

ファンの期待を背負い黒田登場

 注目の一戦に、スタジアムは明らかに色めき立っていた。試合開始前、黒田がウォーミングアップをするためにベンチを出ただけで沸き上がる黒田コール。すでに感極まって目を潤ませるファンすらいるほど。横断幕を作成して持参した女性2人は、「この日が来るのを待ちわびていました。黒田さんの復帰が決まったから、沖縄キャンプも見に行ったんです!」と、ついに訪れた公式戦投板に興奮を隠せない様子。30代の男性は、遠い目をしながら、「本当に黒田が投げるんだ……。いまだに信じられん……」と、あまりの嬉しさに現実を直視できない程だった。興奮のるつぼと化したスタジアムに、スターティングオーダーが鳴り響く。

「先発ピッチャーは黒田博樹!!」

 地鳴りのような黒田コールがスタジアムを包み、その中を黒田がマウンドに向かう。夢が現実となった瞬間にファンの興奮は最高潮に達する。夢にまで見た黒田がついに、MAZDAスタジアムのマウンドに立ったのだ。

 東京から観戦に訪れたという30代の男性は、「これを見るために、仕事をがんばってきたんで、もう死んでもいい」と、早くも満足げ。「カープで投げていた時は子どもだったから覚えてないけど、メジャーリーグのエース級が広島に来てくれるなんて感激!」とは、学生のカープ女子だ。

 世代や地元は違えど、その場にいたファン全てが、マウンドに向かう黒田の姿に大きな感動を覚えていた。

現役メジャー投手の快投にスタジアム全体が興奮

 第一球目が投じられる直前まで、鳴り止まぬ歓声。一瞬の静寂の中で投じられた一球は、相手打者を詰まらせファール。その後の快投は、周知の通りだろう。

 初めて生の黒田を見たという20代の男性は、「生で見て改めてそのスゴさが分かりました。ピンチでも落ち着いているし、オーラが違う!!」と、大興奮。一家総出で、観戦に訪れたという大学生のカープ女子は、「さっき(バントをダブルプレーに打ち取った)の守備はカッコ良すぎ!! これからは黒田さんのファンになります!」と、堂林のユニフォームを着ながら大はしゃぎしていた。

 最後の投球となった7回。2アウトから中村を三振に仕留め、ガッツポーズともに雄叫びを上げると、スタジアムは割れんばかりの拍手が沸き起こった。

 この日の黒田は、7回5安打無失点、与四球1、96球の投球。ピンチにも動じず、無失点でまとめる安定性は黒田博樹の真骨頂。初投板は完璧と呼ぶに相応しいだろう。

 カープファン歴60年という70代のオールドファンは興奮ぎみにこう話す。

「最後、黒田は叫んどったろぅ? 普段は寡黙で冷静をじゃが、今日だけは緊張と、プレッシャーをえろう感じとったとわしゃ思うんよ。それが、仕事を終えた時に見せた気合いに現れとる。そういう、プレッシャーを外に見せず黙々と仕事をこなす姿が、わしらの気持ちを掴んで離さんのよ! 黒田いぅ男はほんまに男の中の男よ!!」

 確かにこのファンが言うように、初投板のマウンドには、恐ろしいほどのプレッシャーがかかっていただろう。それを微塵も感じさせることなく、黙々と投げる様はまさに男の中の男。あの雄叫びは、プレッシャーからの解放された、仕事をやりきった者の心からの叫びであったように思えてならない。そう思うと、一層、胸が熱くなる。

ファン心を熱くしたお立ち台での明言

 そして、2470日ぶりの日本白星を手にした黒田は、お立ち台で31540人のファンを前に、

「広島のマウンドは……最高でした。結果を残さないといけないプレッシャーもあったのでホッとしている。何とか、1年間、体が続く限りチームのために投げたい」

 と、改めてチーム愛を貫く宣言。再び大歓声を浴びたのだった。

 スタジアム内のビジョンでは、号泣する観客の姿が映し出されていた。30代の男性は、「泣いてた人の気持ちは分かる。この日が来るのを半分諦めながら持っていた。まさかこんな日が来るなんて……。本当にありがとうと言いたい」と、感極まった表情を浮かべていた。長いペナントの1試合で、これほど感動を呼ぶ試合はかつてあっただろうか。これぞまさしく黒田博樹の男気が呼んだ効果にほかならない。

 関東から遠征してきたという30代のカープ女子は、「このあと帰って、明日は朝から仕事です。最初は憂鬱でしたけど、黒田さんの頑張る姿を見てそんな気持ちは飛びました。9月にまた来ます!」と語るように、黒田の活躍に力をもらったファンも多かったようだ。

 そしてなんといっても、この黒田の快投に、秋の優勝を期待せずにはいられないファンが続出。気が早いのは重々承知だが、期待せずにはいられない投球だったのだ。フィーバーはまだまだ続きそうである。

(取材・文・写真/井上智博)

「【プロ野球】広島カープ・黒田博樹復帰戦を目撃したファンをスタジアムで直撃」のページです。デイリーニュースオンラインは、広島カーププロ野球スポーツスポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧